新規客が3倍に! “伸びしろ”市場に挑む「楽天西友ネットスーパー」の将来性:配送を効率化(2/3 ページ)
2018年10月にグランドオープンした「楽天西友ネットスーパー」が順調なスタートを切った。ネットスーパー専用倉庫の新設によって多様なニーズに対応する体制を整えるなど、西友と楽天の強みを生かしている。今後の成長のポイントは?
楽天西友ネットスーパーでは、その問題を解消するため、物流・配送の拠点となるネットスーパー専用センターを千葉県柏市に新設。従来実施していた各店舗からの配送に加えて、専用センターを中心としたオペレーションを構築した。専用センターから、都内に複数ある配送拠点に商品を運び、そこから各家庭に届ける。配送業務の効率化を図った。
「店舗ごとの配送だけでは、店の人員やスペースにも限りがあるため、たくさんの注文に対応できない。共働きで夜しか受け取れないケースも多く、都合に合う選択肢がないと利用してもらえない」(野村氏)。現在も、地域や天候によっては枠が埋まってしまうこともあるが、以前に比べると問題は解消できているという。
さらに、専用センターを活用すれば、西友の店舗が近くにない地域でも利用客の広がりが見込めるため、ネットスーパーとしての成長にもつながるという。
専用センターの倉庫内では、両社の知見やノウハウを生かし、商品を並べる順番やレイアウトの改善を重ねて作業効率の向上を図っている。また、商品を仕入れて届けるまでの温度や鮮度の管理は、西友が培ってきたサプライチェーンを活用している。
新規会員登録が3倍に増えた理由
商品やサービスに関しても、西友と楽天が組むことによって相乗効果が出始めている。
その一つが、冒頭で紹介した新規会員獲得だ。SEIYUドットコムのころよりも3倍も新規登録されている理由は、楽天の会員サービスの基盤があることが大きい。楽天会員であれば、そのIDを利用することで簡単にネットスーパーの会員登録ができる。楽天会員にとっては、ポイントをためたり使ったりする場が増えることになる。
会員サービスの基盤を使ってさまざまな事業を展開する楽天にとっても、ネットスーパーにはメリットがある。「日々の買い物にポイントが使えれば、ポイントの利用頻度が高くなることが期待できる。そうなれば、アクティブユーザーの獲得につながり、より活性化する」と、経営企画担当取締役の武田正樹氏は話す。
最大2万品目という商品の品ぞろえについても、両社の連携による取り組みを強化している。有機野菜などを取り扱う「Rakuten Ragri(ラグリ)」の商品やお取り寄せグルメなど、楽天市場の人気商品をネットスーパーでも販売している。また、30〜40代の子育て世代の利用者が多いことから、楽天の子育て世代向け会員プログラム「ママ割」とも連携。時短ニーズに対応したミールキットや半調理商品、カット野菜などの品ぞろえ強化や商品開発に生かしている。
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