新規客が3倍に! “伸びしろ”市場に挑む「楽天西友ネットスーパー」の将来性:配送を効率化(3/3 ページ)
2018年10月にグランドオープンした「楽天西友ネットスーパー」が順調なスタートを切った。ネットスーパー専用倉庫の新設によって多様なニーズに対応する体制を整えるなど、西友と楽天の強みを生かしている。今後の成長のポイントは?
配送キャパシティーにはまだ課題も
新しいテクノロジーを活用して、ネットスーパーの可能性を広げる動きも活発化しつつある。7月4日からは、両社でドローンによる配送の実証実験を行う。神奈川県横須賀市内の西友の店舗から、約1.5キロ離れた無人島へ、観光客が購入したバーベキュー用食材などをドローンで配送するという。今後の実験と検証が進めば、ネットスーパーでドローンが活用される可能性もある。
また、楽天が開発したAI(人工知能)エージェント「Rakuten AIris(アイリス)」を活用し、利用客の購買行動やニーズの分析も進めているという。
今後は、事業の拡大とともに、配送などのオペレーションのさらなる改善や構築を進めることが課題だ。柏市の専用センターから遠い地域など、配送の希望に対応しきれないこともあるため、「配送キャパシティーの問題は完全に解決したとは言えない」(野村氏)。各店舗の業務効率化や倉庫の増設などを含めて、「どのように投資して事業を伸ばしていくか、検討していく」(武田氏)という。
野村氏は「食料品は毎日どこかで買わないといけない。より便利なサービスを提供できれば、定着していくだろう。ECが日常生活の一部になる中で、楽天西友ネットスーパーが“選ばれる”ようになれば」と話している。
現状では、2社の得意分野や培ってきたノウハウをうまく融合させた運営ができているようだ。まだまだ伸びしろがあるネットスーパー市場で、より生活に密着したサービスを提供できれば、成長スピードは早まるかもしれない。
関連記事
- 赤字のUber GMやフォードを超える時価総額の根拠は「自動運転」
5月にIPOしたUber。将来への高い期待を反映し、時価総額はGMやFordを超える700億ドルに達しています。しかし現在は赤字で、今後もしばらくは赤字の見通し。Uberの事業構造を読み解くと、どうなったらこの時価総額が正当化されるのかが見えてきます。キーワードは「自動運転」です。 - ECから撤退して店舗を強化するドンキの狙い
ユニーがドンキホーテホールディングスの完全子会社になることが発表された。これは時間の問題だったのであろうが、想像以上に速い展開が周囲を驚かせた。そこから見えてくるドンキホーテの狙いとは一体? - ローソン参入で本格化 「EC生鮮市場」争奪戦
ローソンがスマホで注文した生鮮品などの商品を店舗で受け取れるサービスを開始した。EC生鮮市場を巡る競争は激しくなる一方だ。 - 西友の精肉売り場が黒いトレーだらけになっていた!
スーパーではさまざまな色のトレーに肉を入れている。西友では4月から牛肉、豚肉、鶏肉を入れるトレーのほとんどを黒に変更した。この戦略は吉と出るのか? - 現金利用不可「楽天生命パーク宮城」と「ノエビアスタジアム神戸」が完全キャッシュレスへ
楽天グループのプロ野球、プロサッカーチームのホームスタジアム2カ所が、完全キャッシュレス化に対応。現金決済の取りやめ、QRコード決済「楽天ペイ」、電子マネー「楽天Edy」、ポイントカード「楽天ポイントカード」、各種クレジットカードとデビットカードだけに対応する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.