冷蔵庫の中まで“のぞき見”しようとするクックパッドの新戦略:単なる“データ提供”からは卒業(3/4 ページ)
日本最大級の料理レシピサービス「クックパッド」。膨大な検索結果という“ビッグデータ”を法人向けに提供しているが、ユーザーの冷蔵庫の中まで分析するような新サービスを考えているという。
コンサルティング機能を強化
これまでに紹介してきたサービスは、どちらかというと「自動的にたまっていくデータをさまざまな切り口で検索しなおす」という意味合いが強い。クックパッドでは単なるデータの提供に止まらず、コンサルティング的な事業にも乗り出している。
その象徴的な存在が「たべみるオンデマンド」だ。これは、16年10月から提供しているサービスで、既存のプランを利用している顧客が追加料金(60万円〜)を支払って、さらに詳細なデータ分析をクックパッドに依頼するというものだ。
たべみるオンデマンドは、調査会社のインテージと共同で運営している。インテージは約5万人のモニターが買い物をしたレシートデータを保有している。そのデータと、クックパッドのユーザーIDを連動させて、さらに深堀りした分析をする。「(ユーザーが)何を買って、何を食べているのかが一気通貫で分かるサービス」(村上副部長)だ。
例えば、野菜や肉を入れて加熱するだけで簡単に鍋料理ができる鍋つゆがある。ある顧客が鍋つゆをどれくらい購入しているかは、レシートデータから分かる。そして、鍋つゆのヘビーユーザーがどのような具材を使っているのか、クックパッドの検索結果から推測できるというわけだ。もし、ある鍋つゆと豚肉の相性が良い場合は、その商品を調味料の棚だけでなく、豚肉売り場に展開するといった施策が考えられる。
このように、クックパッドは鍋つゆを製造するメーカーから依頼を受けて、単にデータを提供するだけでなく、ユーザーの年収、年齢、食に対する態度(簡単な調理を求めているなど)といったデータを組み合わせて、鍋つゆユーザーの「ペルソナ」(最も重要視すべき顧客像)分析の手伝いをしている。消費者の見えないところで、食品メーカーのシンクタンク的な役割を担っているともいえるだろう。
また、この“コンサル事業”は思わぬ副収入をもたらす。それは、クックパッド上で展開する広告を獲得できることだ。例えば、調味料メーカーから依頼を受けてクックパッドが調査した結果、「子どもがいて料理の省力化に興味がある30代主婦」を獲得するのが効果的だという結論が出たとする。すると、クックパッドは「うちで広告を出すと効果的ですよ」という提案も同時にできるというわけだ。
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