テレビ局が吉本興業を出入り禁止にすべき理由:専門家のイロメガネ(5/8 ページ)
吉本興業の芸人による闇営業。この事件で最も重要なことは、事務所のあずかり知らない所で所属芸人が詐欺集団の会合に参加したことであり、芸人をマネジメントすべき吉本興業がそれを防げなかったことだ。本来研修を受けるべきは芸人ではなく、吉本興業の経営陣ではないのか。
客の身分をいちいち確認しているコンビニはない。一方で、誰が使うかよく分からないまま宴会場を貸し出すホテルもない。芸能人の営業もどこの誰が主催するイベントなのか分からない状態で出演することはない。問題となった芸人の闇営業は「※暴力団の活動を助長し、又は暴力団の運営に資する」利益供与違反として、以下のように説明されている。
「※興行を行う事業者が、相手方が暴力団組織を誇示することを目的としていることを知った上で、その暴力団員らに対し、特別に観覧席を用意する行為」(東京都暴力団排除条例Q&Aより)
暴排条例では、ホテルにも芸能事務所にも上記Q&Aにあるように、契約相手が暴力団関係者か確認に努めるように求めている(努力義務)。
吉本興業との契約の継続はテレビ局側のコンプライアンスが問われる
Q&Aでは「知った上で」取引をしているなら問題とある。つまり知らなければOKということになるが、努力義務が課されている以上は、相手方が暴力団関係者かどうか知るだけの努力をしたかが問われる。
吉本興業が契約書を交わさず闇営業も黙認し、中身についても一切関知していなかったのであれば、努力義務を果たしているとは到底いえない。
テレビ局は、トラブル防止について努力義務を果たしていない可能性がある芸能事務所と契約を続けた場合、コンプライアンス上問題はないと考えているのか。今までは吉本興業の内情を知らなかったという説明で済むかもしれないが、今後は到底無理だろう。それどころかテレビ局は取引のある芸能事務所を総点検する必要すらある。
「もし新しく設立された芸能事務所が暴力団との関係を取りざたされていたら、テレビ局は取引するのか?」
このように考えれば、どんな行動すればいいか簡単に答えが出る。法令順守・コンプライアンスは相手によって出したり引っ込めたりするような軽いものではない。
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