社長がスナックのマスターに!? 働きがいがある会社の「ミッション」「ビジョン」の伝え方:「伝わり度」が分かるチェックシート付き(1/2 ページ)
変化の時代に社員がブレずに同じ方向を目指すのは重要なこと。働きがいがある会社は、その指針となるミッションやビジョンをどうやって社員に伝えているのか。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
「働きがいのある会社」に共通しているものは何なのか――。本連載では、その疑問に答えるべく、働きがいのある会社に選ばれた企業の取り組みを参考に、働きがいを高めるための秘訣(ひけつ)と施策を探っていく。
連載の第1回では、「働きがいのある会社」ランキング上位に選ばれた5社の勉強会「QOWL」の活動を通じて、働きがいを高める取り組みで目指すべき「4つの状態」を明らかにした。
2回目となる今回は、それぞれがどのような状態で、なぜ重要なのかを、各社の取り組み事例を交えながら紹介する。
「働きがいを高める4つの状態」と取り組み事例
- 働きがいのある会社に共通する「4つの要素」
- 「経営理念が伝播(でんぱ)・共感された状態」を保つ ←※今回はここ
- カルチャーを示し、社員が「当然だよね」と思う環境を保つ
- インターナルコミュニケーションをデザインし、良好な状態を保つ
- 社員の“やりたい!”を推奨し、サポートする環境を維持する
「経営理念が伝播・共感された状態」を保つ
経営理念を伝えるために「ビジョンやミッションを作る」というのは、多くの経営指南書にも書かれている話だが、作るだけではダメなのだということも、QOWLの勉強会で痛感した。
どうやら大事なのは「作る」ことではなく、経営理念やビジョンが「共感」された状態を作ることらしい。
当たり前だが、個人の価値観や仕事感は実にさまざま。だが、個人の価値観(仕事感、人生観)と、企業が持っている価値観(つまり理念やビジョン)が合致していると、個人としての働きがいが高まるのは、直感的にもなんとなく理解できるのではないか。
個人と企業の価値観を一致させるためには、経営理念を額に飾ってもダメだ。短くスマートな経営理念を眺めるだけでは理解できない部分が大事になる。経営理念の背景にある、もっと泥臭いリアリティーのある内容を経営陣が語る必要があるわけだ。例えば、
- なぜ、その理念・ビジョンを掲げているのか
- それは具体的にどういうことなのか
- 具体的にどんな局面で、どう動くことを意味するのか
- それが実現された先に何が待っているのか
そんな「理念に込めた思い」を知る必要がある。
ここまで分かって、ようやく共感できる状態になる。自分がその会社で仕事をする意味を考えられるようになるのだと思う。そして結果的に会社と自分のベクトルが一致する(それでも一致しない人は、いずれ会社を去ることになるのだろう)。
多分、QOWLに参加した各社はそんなことを考えながら、「経営理念が伝播・共感された状態を保つ」ことに力を割いていた。各社の具体的な取り組みを紹介してみよう。
freeeの取り組み――社長がマスターの「スナック燕」
freeeでは、五反田の実際のスナックを丸ごと借り切って、社長自身がマスターになって社員にお酒を振る舞うという取り組みをしている。その名も「スナック燕(つばめ)」。本物の看板まで作り込むこだわりようだそうだ。
毎回、異なるトークテーマが設定し、参加者を公募する。1度に8人くらいが参加して、夜な夜なテーマに沿ってざっくばらんに議論が展開されるという。お酒も入るので、話が盛り上がりそうだ。
当然、社長の考えをしっかり聞くことになるし、自分の疑問もバンバンぶつけていくことになる。その中で、徐々に経営理念の理解が深まっていく。
コンカーの取り組み――社長とランチする「ミムランチ」
コンカーでは、社長の三村氏と1対1でランチコミュニケーションを取る機会を設けている。「三村とランチ」なので「ミムランチ」と命名されている。社長と1対1とは、なかなかの機会だ。声を上げる人なら、誰でもこの制度を利用できるらしい。
社長とざっくばらんに話し合えるという点では、freeeの「スナック燕」の取り組みと似ているが、時間帯も人数感も、アルコールのありなしも、全く違う。これがコンカーにはピッタリの施策なのだろう。
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