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中国で受け入れられた信用スコアは、なぜ日本で炎上するのか?:専門家のイロメガネ(3/5 ページ)
筆者の育った中国では、スコアリングが当たり前のように行われ、多くの人がそれを受け入れている。そこで先行してうまくいっている中国の事例を紹介し、日本はどのような対応をすべきか考えてみたい。
信用スコアはクレカのポイントと同じ
多くの中国人はこのような信用スコアを、日本でいうクレジットカードのポイント程度にしか考えていない。芝麻信用は個人のスコアを本人に公開しているが、平均点は公表されていない。どれくらいのスコアが一般的な水準なのか友人に聞いてみたところ、600点以下の人はいなかった。
天津の李さん(男性)は31歳の公務員で芝麻信用スコアは742点。現在は奥さんが妊娠中なので行けないが、以前は夫婦で外食をしたりショッピングに行ったりするなどアリペイを使っていた。信用スコアについては「あまり気にしていない。買い物をしているうちにいつのまにかスコアが上がっていた」という。
上海の載さん(女性)は35歳の会社員。彼女はショッピングが好きだが、今は1歳の子供の面倒を見るのに忙しく、ネットで買い物する機会が増えた。「信用スコアが上がるといろいろお得なので、なるべくタオバオで買い物してスコアが上がるようにしている」という。
このように、買い物をすると増えるお得なポイント程度の、ライトな捉え方をされていることが分かる。
日本でもマーケティングリサーチを行うと、男性はポイントカードに無頓着な人が多い傾向にあり、女性は何枚もポイントカードを持ち歩いてきちんとお得なベネフィットを受けようとする傾向が見られる。これに近い状況が信用スコアについてもあるようだ。
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