従業員に「7連休とってね」 ロイヤルホストの働き方改革、次なる一手:既に達成率は8割(1/2 ページ)
働き方改革を次々と推進しているロイヤルホスト。24時間営業の廃止や店舗休業日の設定に続き、従業員の「7連休」取得に挑戦している。人材獲得にもプラスに働いているようだ。
営業時間の短縮、24時間営業の廃止、店舗休業日の設定――働き方改革を積極的に進めているロイヤルホストが、社員に対して「7連休取得」を推奨している。2019年からこの取り組みを始めており、「6月までの達成率は約8割」(広報担当者)だという。
飲食チェーンで働く社員にとって、店舗が最も忙しくなる土日に休むのは勇気がいることだ。飲食店コンサルタントで、スリーウェルマネジメントの三ツ井創太郎社長は「飲食チェーンで7連休を取得できるのは、かなり珍しいケースと言えます」と驚く。7連休を取得したことで、どういった効果が出ているのだろうか。
ロイヤルホストの働き方改革
もともと、ロイヤルホストが働き方改革に着手したのは「原点回帰」という戦略を打ち出したためだ。「店員によるおもてなし」や「コックがひと手間かけた料理」という強みを打ち出し、ブランド価値を向上させる狙いがあった。
そこで、店舗の改装、全席禁煙化、品質の高い素材の利用といった施策を次々と打ち出した。さらに、従業員がしっかり接客や調理ができるようになるためには、働き方改革も必要だということになった。
店舗の営業時間を見直し始めたのは11年からだが、17年になってから大きく前進させた。17年1〜3月の間に約155店舗を対象として、1店舗当たりの営業時間を平均で1.3時間短縮した。同時に、24時間営業の店舗を17年1月末までになくした。深夜や早朝の営業時間を短縮することで、多くのお客が来店するランチタイムやディナータイムに人員を手厚く配置し、提供するサービスを向上させるためだ。
営業時間を見直したことで、どのようなメリットがあったのか。広報担当者によると、店長や料理長といった店舗のリーダー格となる社員が、ランチタイムやディナータイムに多く勤務できるようになった。その結果、スタッフの教育面などでプラスの効果があったという。また、店舗にいるスタッフの数が増えたので、より質の高いサービスを提供できるようになったと同社は分析している。
18年になると、店舗休業日の導入に踏み切る。それまでは無休が基本だったが、年に3日(元日、5月、11月)の休業日を設けた(一部例外あり)。19年も同様に、元日を含む3日の休業日を設ける予定だ。店長や料理長からは「自分が休んでいても、お店が営業していると(自宅にいても)気になってしまっていた。しかし、一斉に休むことでリフレッシュにつながった。特に、元日には家族とゆっくり時間を過ごせた」といった声が寄せられているという。ちなみに、店舗休業日を設定した18年の既存店売上高は前年比3%増だった。
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