中小企業が「優秀なスタッフを採用する秘訣」とは 「管理ゼロ経営」で注目の社長に聞いてみた:長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」(2/5 ページ)
「報酬は“つらさの代償”なのか」「性悪説はなぜコスパが悪いのか」「なぜ“どうせうちの会社は”という感情が生まれるのか」――。管理ゼロで会社をまわす、ソニックガーデン社長の倉貫義人氏を直撃!
「どうせうちの会社は」という感情が生まれる理由
長谷川: 倉貫さんの会社は、働く時間や場所が自由で、上司もいないし面倒な決裁もない。売り上げ目標もノルマもなくて、複業OK――と、かなり自由ですよね。でも、倉貫さんの本を読んだ人は、「それはソニックガーデンだからできるのであって、俺の会社じゃ無理だよ」と感じる人も多いと思うんです。そこについてはどうお考えですか?
倉貫: 自分の心持ち次第じゃないかと思います。僕も社長だからといってなんでも好き放題できるわけじゃないです。ちゃんと納税しながら日本の法律にのっとってやっているわけだし。
長谷川: でも、サラリーマンだと上司からの指示命令があって仕事が成り立つ場合が多いわけです。「仕事が楽しくない」という人は、今の上司と合わないのか、どんな上司であれ文句を言う人は言うのか、どっちだと思います?
倉貫: 両方あるんじゃないですか。ただ、「うちの会社では無理だ」と言う人たちだって、最初からそんなに斜に構えていたかというと、そうじゃないと思うんですよ。少なくとも新卒で就職したときは、希望をもって「がんばっていこう」と思っていたはずじゃないですか。それが「どうせ」と言うようになる。環境がそういう人を生み出しているんだとしたら、不幸なことですよね。
長谷川: メルカリは「どうせ」と諦めず、マネジャーや経営者にどんどん要求を突きつけてくる社員が多いんですよね。個人的には、上の人がみんなに気を使い過ぎじゃない? と思うこともあるんだけど、例えば「有給休暇の日数を上限なしにしようか」みたいなことを真顔で検討してるのは、すごいと思います。
倉貫: それは、何のためですか?
長谷川: CTOがエンジニアとしてより良い働き方を追求する一つの例ですね。何でもかんでも米国がいいってわけじゃないですけど、メルカリUSも実質、そうなってますね。四半期ごとに評価はしっかりとされるんだけど、成果とルールベースの勤怠は直結しないというか、自分や自分のチーム、そしてその仕事のタイミングで、ベストな勤怠で良いのはないか――ということです。
倉貫: そうするメリットがあるんですか?
長谷川: 1つは、そういう働き方にすることで「天才が入社する可能性がある」ということです。大げさなことを言うと、年に数日だけ働いてすごい成果を上げる人が来るかもしれない。
倉貫: なるほど。
長谷川: 倉貫さんは、「1日だけ働いて成果出します」みたいな人が来たらどうします?
倉貫: そういう人は採用しません。
長谷川: それは、「ある程度の時間は働かないとアウトプットが出るわけない」ということですか?
倉貫: いや、僕らはチームで仕事をするというのが大前提なんですよ。僕は「助け合いができること」がチームの大前提だと思っていて。つまり、誰かが困っているときに、自分の仕事が遅れたとしても気軽に助けてあげられるのがチームだし、「ちょっと思いついたことがあるから聞いてほしい」というときに話ができるのがチームです。
そういうときにいちいち、「対価をどうするか」「時間を取らせても良いものか」などと考えなくていいのが、成果単位で仕事をお願いする人との違いです。
だから、社員は基本的にフルタイムで働きます。フルタイムというのは厳密に測っているわけじゃないし、ルールはないけれど、だいたいみんな9時くらいに出てきて17時半まで、あるいはもう少し早い人も遅い人もいる、という感じです。
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