中小企業が「優秀なスタッフを採用する秘訣」とは 「管理ゼロ経営」で注目の社長に聞いてみた:長谷川秀樹の「IT酒場放浪記」(4/5 ページ)
「報酬は“つらさの代償”なのか」「性悪説はなぜコスパが悪いのか」「なぜ“どうせうちの会社は”という感情が生まれるのか」――。管理ゼロで会社をまわす、ソニックガーデン社長の倉貫義人氏を直撃!
結婚前に同棲するように、入社前に一緒に働いてみる
長谷川: 社員の定着率は高いんですか?
倉貫: めちゃくちゃ高いです。今まで辞めたのは試用期間中の人だけで、一人前と呼ばれている人は辞めていません。
長谷川: それは、会社のカルチャーに合った人を入れているから?
倉貫: そうです。世の中の会社がなぜ性悪説でルールを作るかというと、よく分からないやつを入れるからですよね。僕は、会社は性善説で運用しているんだけど、個人的には性悪説の立場なんですよ。世の中は怖いやつだらけだと思ってます(笑)。だから2回ぐらい面接してすぐに入れちゃうなんて怖くてできない(笑)。なるべくしっかりフィルタリングしようと思っているから、中途採用は応募があってから入社するまでだいたい1年半くらいかけてます。
長谷川: その間に一緒に働いてみたりするんですか。
倉貫: それもします。求人サイトとかエージェントは一切使っていなくて、最初は会社のWebページから応募してもらうんです。eラーニングみたいなシステムを作っていて、それをやって自分でスキルを判定してもらったり、面接で聞くようなことを文章で入力してもらったりします。
それをクリアしたらテレビ会議で面接、というのを3ステップくらい繰り返し、ようやく「ちゃんとした人だな」と判断するんです。そこまで面倒なことを一緒にやってくれるなら、十分やる気があって真面目な人ですから。
とはいえ、真面目でスキルがあっても、本当に会社に合うかどうかはまだ分からない。普通の会社だと入ってから試用期間がありますけど、試用期間の後に辞めさせるのって、難しいですよね。だから僕らの会社では、入る前に試用期間を設けていて、半年くらいかけてWebの試験をクリアしたら、そのあとは一緒に仕事してもらったり飲みに行ったり遊びに行ったりするんです。
長谷川: 仕事というのは?
倉貫: 僕らのお客さまの仕事を振るわけにはいかないので、社内で使うツールの開発や改善をやってもらいます。最近は副業が解禁されてきているので、副業としてできる範囲でやってもらって、報酬も払います。副業禁止の会社にいる場合は、その時はお金は払わず、時間を申請しておいてもらい、入社後にお祝い金みたいな形で渡します。
長谷川: それをやると、合う合わないがよく分かるわけですね。
倉貫: そうです。相談に来るタイミングとか成果物のレベルとかが見られるので、一緒に働くのが一番よく分かります。それを半年くらい続けて、「あれ、もう、うちで働いてるよね」みたいな感じになって、「じゃあ、入社する?」と言って入社する。「結婚前に同棲してみましょう」というのと同じです。
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