効率化しすぎてギスギスした職場に「ザッソウ」が効く理由:ホウレンソウは、もう古い?(3/4 ページ)
効率化を進めすぎた結果、一緒に働く人たちに対して関心を持つことができなくなったチームはもろく弱いものです。もはやチームとはいえない、ただの集団といってもいいでしょう。
チームで働く意義が感じられない
多くの組織で導入されている成果主義というモノサシだけでは、決められた成果を
出すこと以外での評価が難しくなります。
人間には1人ひとり異なる得意なこと・不得意なこと、性格の向き・不向きがあります。1人として同じ人間は存在しません。それなのに効率化だけを追求しすぎると、誰がやっても同じような速度と品質を求めるようになり、まるでロボットを働かせるかのようにマニュアル化を進めようとしてしまいます。
その結果、「この仕事は自分じゃなくてもいいのではないか」「なんのために働いているのだろうか」といった気持ちになり、自分の存在が認められないという不安を持つようになります。しかも、そうした部下の抱える悩みを上司が知ることさえなくなります。
社内での、一見すると無駄に思えるようなコミュニケーションや雑談がなくなることで、「その人がどんなモヤモヤを抱えているのか」「最近の体調はどうなのか」「将来どんな風に働きたいのか」といったことを知る機会がなくなってしまうのです。
効率化された情報共有だけを徹底的に追求すると、短期的な成果は見込めますが、その結果として個人のモチベーションが保たれず、辞めていく人が出てきてしまうことになります。そうなると長期的な視点で見たときに、組織として成果を出し続けることは難しくなってしまいます。
弱みを見せることができない
成果主義の徹底によって常に評価されているように感じると、他人に頼るどころか強い自分を見せていなければいけない気持ちになります。弱みを見せても良いことなどなく、むしろ「こいつ馬鹿なんじゃないか」「使えないやつだ」というレッテルを貼られてしまう不安があるためです。そんな不安の裏返しとして、会社から期待される強い自分であろうとしてしまうのです。
多くの人が、社会に出たら立派な大人でいないといけないと思い込んでいます。大人には弱いところなどないし、あっても他人に見せるべきではないと考えている人のなんと多いことでしょう。
しかし、人間なら誰でも弱い部分や苦手なことがあるはずです。それなのに常に周囲からの評価を恐れて、素の自分を出すことができずにいる人も少なくないでしょう。
チームワークがなくて仲間に頼ることができず、人間関係が希薄で相談もできず、それでいて成果に対するプレッシャーを受けながら働くことになったら、いずれメンタルに不調をきたす人が出てきてもおかしくありません。
チームで働くことで、自分の強みを活かすことができるのと同時に、仲間の弱い部分を自分の強みで補い合えるからこそ、より大きな成果を出すことができるのです。弱みがあっても自分で補わないといけないなら、チームにいる意味がありません。
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