効率化しすぎてギスギスした職場に「ザッソウ」が効く理由:ホウレンソウは、もう古い?(4/4 ページ)
効率化を進めすぎた結果、一緒に働く人たちに対して関心を持つことができなくなったチームはもろく弱いものです。もはやチームとはいえない、ただの集団といってもいいでしょう。
新しいことに挑戦しなくなる
効率化を追求していくことで、どうしても近視眼的な目線で成果を評価してしまうことがあります。
たしかに短い期間で成果を上げることも重要ですが、目の前の仕事ばかりに目を向けすぎてしまうと、手慣れた仕事以外のことに取り組む余裕がなくなってしまいます。もちろん、雑談をする余裕もなくなってきます。
新しいアイデアやおもしろい企画などは、1人だけで考えているよりも、誰かと雑談をしているときに思い浮かぶことが多くありますよね。自分の頭の中にあるだけでは曖昧模糊とした思いつきですが、誰かに話をすることで言語化されてアイデアという形になるのです。それに自分以外の観点が入ることで、アイデアはより明確になっていきます。
そんな雑談をする余裕がないとすれば、アイデアが生まれるチャンスを逃しているということになります。そうなると当然、新しいことに取り組まなくなっていきます。
どんなアイデアも百発百中で当たるなんてことはありません。だからこそ色々な意見を出し合う必要があるのですが、効率化だけを求めるチームでは、すぐに成果が出ないような意見を出しにくくする同調圧力が発生します。なるべく多数派に巻かれておく方がもめることもないので、平和にすごしたい多くの人にとっては「意見なんて出さなくていい」となってしまうのです。
たとえブレインストーミングを実施したとしても、突飛なアイデアや他人とは違う意見を発信して批判されたり、微妙な空気になるような状態では、新しいアイデアなど出せるわけがありません。
【前編を読む】
ソニックガーデン 代表取締役 倉貫義人氏プロフィール
「納品のない受託開発」という月額定額&成果契約で顧問プログラマーを提供するソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。アジャイル開発のエヴァンジェリスト。1974年生まれ。京都府出身。大手SIerにてプログラマーやマネジャーとして経験を積んだのち、2011年に自ら立ち上げた社内ベンチャーのマネジメント・バイ・アウトを行い、ソニックガーデンを設立。「納品のない受託開発」という斬新なビジネスモデルは、船井財団「グレートカンパニーアワード」にてユニークビジネスモデル賞を受賞。会社経営においても、全社員リモートワーク、本社オフィスの撤廃、管理のない会社経営などさまざまな先進的な取り組みを実践。2018年には「働きがいのある会社ランキング」に初参加5位入賞と、「第3回ホワイト企業アワード」イクボス部門受賞。著書に『管理ゼロで成果はあがる』『「納品」をなくせばうまくいく』『リモートチームでうまくいく』がある。ブログ:https://kuranuki.sonicgarden.jp/
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