ドローンの次は最速20キロのUGV 楽天が陸・空から革命起こす 壁は「手ごわい」道交法 :無人走行ロボットのサービス開始(2/2 ページ)
楽天が自動走行ロボットを使った配送サービスを開始。神奈川県横須賀市のうみかぜ公園で9月21日から10月27日まで。同ロケーションでは既にドローン配送も行っている。楽天は「無人ソリューションで新たな産業革命を起こす」という目標を掲げているが、道路交通法などまだまだハードルは高い。
「道路交通法はかなり手ごわい」
UGVは既に「技術的に、やろうと思えば公道を走らせることはできる」(担当者)が、最大の壁は道路交通法だ。担当者が「かなり手ごわい」と話す同法は、そもそもこういった無人ロボットが道路を走行することを想定していない。また、歩道を走行するのか、車道を走行するのか、といった議論もあり、課題は山積している。
こうした状況の中、経済産業省は「自動走行ロボットの社会実装に向けた官民協議会(仮)」を設置。20年2月までにかけて、全4回の開催を予定している。同協議会では、安全性の確保や高齢者など「交通弱者」に対する配慮、ならびに事故時における責任所在の明確化などをテーマにする。
今回のデモンストレーションでは、西友リヴィンよこすか店からドローンの発車も行われた。楽天は、ドローンによる配送も既に行っている。うみかぜ公園の対岸に位置する猿島まで、UGVと同様に西友リヴィンよこすか店から商品の発送を展開(配送料500円)。19年7〜9月まで、木・金・土の週3日で実施しているが、既に70件以上の注文があり、「予約を受け付けると瞬時に埋まってしまう」というほどの人気ぶりだ。こちらもUGVと同様、人の手によらず自動運行する。担当者によれば「ドローン分野では、もともとの規制法がないので、UGVに比べると普及のハードルは低い」とのことだが、まだまだこちらでも実用化に向けた整備が進んでいないのが現状だ。
一方、技術面では準天頂衛星システム「みちびき」を使った配送実験が進んでいる。これまでGPS等を使用していた場合、目的地との誤差が数メートルだったのに対し、みちびきの測位情報を使用した場合、数センチまで縮小したという結果が得られている。
このように、技術の革新が進む一方で、普及がなかなか進まない現状がある。楽天が掲げる「無人ソリューションで新たな産業革命を起こす」の実現には、まだまだ時間がかかりそうだ。
関連記事
- ヤフー・ZOZOに追われる楽天 「ファッション事業強化宣言」も具体策は見えず
楽天がファッション事業の新構想を発表。TOKYO Fashion Weekのスポンサー契約を結ぶなどファッションを強化中の楽天。ZOZOの買収を発表し、PayPayモールの起爆剤として追いかけたいヤフーだが、まだまだ差は大きそうだ。 - ZOZO、「Zホールディングス」に仲間入り 前澤氏は既に辞任「僕自身は新たな道へ」
ヤフーがZOZOに対しTOB(株式公開買い付け)を行うと発表。ZOZO株の50.1%を取得見込み。ZOZOの前澤氏は9月12日付で代表取締役を辞任する。 - がっかりだった自動運転バスが新たに示した“3つの答え”
小田急電鉄などが手掛ける自動運転バスの2回目の実証実験が行われた。1年前の前回はがっかりしたが、今回は課題に対する現実的な解決策を提示してくれた。大きなポイントは3つ。「道路設備との連携」「遠隔操作」「車掌乗務」だ。 - KDDI、新料金プラン発表 楽天参入は「意識せず」 今度はポイントプログラムで“囲い込み”
KDDIが9月12日、10月からの新料金プランを発表。SNSのデータ消費がなくなるプランなどが登場。端末の半額サポートも維持する。ポイントプログラムへ新たにステージ制を導入。「通信と端末の分離」で進みそうなユーザー離れに歯止めを掛ける狙い。楽天の参入が遅れている件については「そこまで意識していない」としている。 - ”着るこたつ”がワークマンから初登場 「価格破壊」を続ける理由を担当者に直撃
ワークマンが9月5日に秋冬商品の発表会を開催。今年の注目は”着るこたつ”。50度、45度、40度の3段階に温度調節でき、バッテリー付属。最大17時間持続する。昨年売り切れ店舗もあった「アルティメット」もリニューアルして登場。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.