プレ金の成功例? 岐阜の神社で5000人が行列をつくる理由:「金の御朱印」求めて(3/4 ページ)
毎月最終金曜日に「金の御朱印」を提供する取り組みが岐阜で盛況だ。神社やお寺に計5000人が訪れるという。最長で5時間待ちの行列ができたこともある。なぜ地域で「金の御朱印」に取り組んでいるのか。仕掛け人と、参加する寺に話を聞いた。
1300年前の「国宝」をデザインした御朱印
「実際に神社やお寺に足を運んでみると、重要文化財があったり、珍しい仏像があったりと、とても魅力があることに気付きます。地域に根付く神社やお寺の歴史を知って、拝んで帰る。現在はそういった習慣も少なくなってしまいましたが、それが本来の醍醐味なのでは」と佐藤さんは話す。金の御朱印が、地域を知ってもらうきっかけになるという。
8月から取り組みに参加した、岐阜市の護国之寺(ごこくしじ)も、隠れた魅力を持ったお寺だ。岐阜市内唯一の国宝「金銅獅子唐草文鉢」を所蔵している。1300年前、奈良時代に作られた「こがねのお鉢」だ。
護国之寺の副住職夫妻、廣瀬良倫さんと有香さんは「岐阜をもっと盛り上げたいと思い、(金の御朱印に)賛同しました」と口をそろえる。これまで積極的に国宝を宣伝してこなかったことから「最初は断った」というが、地域活性化につながること、そして国宝にちなんだ金の御朱印は他になかったことから、参加を決めた。
御朱印は、授与する神社や寺によって個性が表れる。護国之寺では、国宝のお鉢をあしらった金の御朱印を考案。有香さんが「お鉢の写真を模写してデザインした」という。お鉢は文様に大きな特徴がある。獅子、唐草、雲などが非常に細かく刻まれており、これをデザインした御朱印は、目を凝らして見入ってしまうほどの美しさだ。
7月にプレ開催として試行したところ、参拝者から「岐阜に国宝がある寺があるなんて知らなかった」「(お鉢と縁のある)奈良から来た」などという声があったという。良倫さんは「全国の人、そして地元の人にも、岐阜の隠れた魅力を知ってもらうきっかけになれば」と期待を寄せる。
関連記事
- 観光客を呼べなかった「静岡のお茶」が、若い女性を引き付けている理由
静岡県中部地域で「お茶」を観光コンテンツ化する動きが活発だ。静岡のお茶を使ったかき氷を提供する取り組みは、SNSを使う若い女性客の心をつかんだ。なぜ今、知名度が高い「お茶」と観光を結び付けようとしているのか。背景には大きな危機感がある。 - 「口裂け女」を岐阜のアイドルにした、地元経営者の“本気”
岐阜市の「柳ケ瀬商店街」に活気を取り戻すために、地元経営者らが注目したのは昭和の都市伝説「口裂け女」。口裂け女をテーマにしたお化け屋敷が、町おこしの事例として注目されている。どのように人々に受け入れられたのか。 - 『君の名は。』『聲の形』……岐阜にアニメの「聖地」が続々と生まれている理由
ここ数年、上映されているアニメ映画の舞台をみると「岐阜県」が多い。「そんなの偶然でしょ」と思われたかもしれないが、アニメ業界で岐阜の存在感が増しているのは「必然」なのかもしれない。なぜなら……。 - 温泉街の小さな店に大行列 「熱海プリン」が生まれたワケ
熱海の温泉街に生まれた「熱海プリン」が売れている。新たに「熱海の商店街で一番並ぶ店」となった熱海プリンが生まれたワケとは? - あなたの地元はまだ生き残れるのか?
「自分の地元がヤバい……!」。そう思っている人は多いのでは? 想像以上に日本の地域の衰退は進んでいるのだ。そのような問題意識を持つ人におススメしたい本を紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.