なぜ私は「イクメン」と呼ばれるとイラっとしてしまうのか:新連載・「イクメン」と呼ばれて(3/4 ページ)
共働きで子どもを育てている筆者。家事と育児をバリバリこなしている。なぜ「イクメン」と呼ばれるとイラっとしてしまうのか。
家事が軽視されている
家庭を運営していくにあたり、家事は非常に重要な行為であり、育児と密接に結びついています。しかし、「イクメン」という言葉が強すぎるあまり、“男性が育児に関わる”という点に強くフォーカスされてしまいます。
仕事と育児を両立しやすい職場だとアピールするため、育児休暇を取得した社員の座談会などを公式Webサイトに掲載する大手企業が増えてきています。私も、コラムを執筆するにあたって、そういった特設ページを研究してみました。しかし、妻と夫と子どもが笑顔で遊んでいる写真などが目立ち、家事は軽視されている印象です。
「妻の産後という大変な時期に手伝っただけ」もしくは「日常的に家事や育児の一部分を手伝うだけ」で「イクメン」と称される事例が散見されます。もちろん、何をしないよりはマシですが、「イクメン」を使うハードルが低すぎて、子どものおしめをかえたり、一緒にお風呂に入ったり、公園で一緒に遊んだりするだけで、「俺は十分やっている」と考える父親を大量に生み出しそうです。
積水ハウスは「イクメン白書 2019」を9月19日に発表しています。これは、小学生以下の子どもがいる20〜50代の男女9400人に対して行ったインターネット調査の結果をまとめたものです。男性の47.1%が「自分はイクメンだと思う」と回答し、女性の50.9%が「夫はイクメンだと思う」と回答しています。私の実感と照らし合わせると、「イクメン」はインフレ状態です。
また、この調査によると、夫が行う家事・育児の中で得意なもののベスト3は、「子どもとの遊び」(38.2%)、「ゴミ出し」(34.3%)、「子どもの入浴」(28.0%)となっています。私に言わせると、これらは家事・育児の中では“軽量級”のタスクです。働きながら必死に子育てをする母親は、「名もなき家事」と呼ばれる細かいけどやらないといけない無数の雑用に追われています。果たして、イクメンのうちどれだけが“その他大勢”の家事を手伝っているのでしょうか?
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