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「無駄なことをやり続ける」 喫茶店不況の中、創業55年のレトロ喫茶が人気のわけ1964年から2020年へ(3/5 ページ)

喫茶店の倒産が相次いでいる。東京商工リサーチによると、2019年1〜8月の期間で倒産した喫茶店は42件。過去20年の中で最多ペースに並ぶ勢いだ。こうした中で、新宿にあるレトロな“純喫茶”が9月、新たな店を西新宿に出店した。店名は「珈琲西武」。新宿三丁目にある1号店は1964年にオープンし、今年で55年目を数えるほどの老舗純喫茶だ。喫茶店チェーンでは、200円台からコーヒーが飲める店も増えている中、珈琲西武のコーヒーは最低でも600円。それでも、平日や休日を問わず入店待ちの行列ができるほどの人気ぶりだという。

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あえて非効率に

 珈琲西武がこだわっているのが「非効率」だ。「言葉を選ばず言えば、極力無駄なことをやろう、というのが大きなこだわり。だから、手作りできるものは手作りをする」(村山氏)。

 例えば、「自家製プリンのプリン・ア・ラ・モード」(1300円、税込)に使われるプリンは、読んで字のごとくシェフが手作りしている。これだけでは「別に普通じゃないか」と思う人もいるかもしれない。ただ、「プリンだけ」の商品は存在せず、プリン・ア・ラ・モードでしか使われないというから驚きだ。「プリン・ア・ラ・モードが注文されなければ無駄になってしまうかもしれない。しかし、商品に自信があるからこそこうした思い切ったことができる」と村山氏。


さまざまなこだわりはメニューに記載されている

メニューの一部

 今ではコーヒーに欠かせないものといっても良いガムシロップも、毎日水と砂糖から手作りしている。モーニングなど、料理のプレートで付け合わせとして提供されるポテトサラダも手作りだ。

 ガムシロップもポテトサラダも、多くの店では既製品を仕入れて使用している。「そうしたものを使うことももちろん否定しない。ただ、そうすると『文句』はないけど『感動』は生まれない。例えば『このポテトサラダ、お母さんの味に似ているな』と思ってもらうことができたら、きっと当店の魅力が伝わる」と村山氏は話す。

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