口コミ・チラシで集客する「おしゃれ過ぎない」美容院 驚きの立地戦略で売り上げ爆増中:キーワードは「メンテナンス」(2/2 ページ)
白髪染めなどをメインに手掛けて急成長を遂げているチョキペタ。2011年に営業を開始し、9年間で売り上げはおよそ100倍。カラーリングやシンプルなカットなど、主に40代以上以上の女性を中心に支持を広げている。売り上げ爆増の背景にある驚きの立地戦略とは?
ベーカリーやクリーニング店の跡地に出店
チョキペタでは、集客にホットペッパーなどの予約サイトを活用していない。また、チラシもオープン時に使うことはあるが、基本的には「口コミ」に頼っているという。こうしたアナログとも思える手法で売り上げを伸ばし続けているカギは、立地の選び方にある。
チョキペタは、郊外のスーパーマーケットの一角など、「こんなところに美容室が!」と思うような場所に出店を重ねている。担当者によると、前に入っていたテナントはベーカリーやクリーニング店などが多いという。「年齢を重ねてくると、自分の生活圏内で用事を済ませたくなりがち。チョキペタの狙いとする層と、こうした出店の親和性は高い」と置塩社長。
こうした立地に出店することで、日々の買い物の「ついで」に利用されることを狙っている。気合いを入れておしゃれにしてもらいに行くようなデザイン系の美容室であれば、都心や一等地に店を構える必要があり、必然的に競合店も多くなる。そうなると、予約サイトなどに積極的に出稿し、認知度を高める必要も出てくる。それが回りまわってコストになり、サービス価格の上昇にもつながる。
「休眠美容師」の活用も
また、スタイリストには美容師の資格を持っていながら現場で働いていない「休眠美容師」と呼ばれる層を活用。結婚や出産を機にリタイアした人たちの復帰場所としても機能しており、現在スタイリストとして働いている人のおよそ半数ほどが休眠美容師だという。さらに、休眠美容師は主婦層が多いことから柔軟な働き方を推奨し、全体の8割近くがパートとして働いている。
休眠美容師は現場から離れている期間が長い人もおり、スキルに不安を持っている人も少なくないため、オートシャンプーを行う機械を導入するなど、現場の負担軽減にも抜かりがない。
置塩社長は「高齢化という追い風を受けて、メンテナンスサロンという形態は10年後、20年後も『文化』として残っていくはず。まだまだ発展途上だと考えているので、休眠美容師の活用も踏まえて、事業の土台を固めていきたい」と話す。
「おしゃれ過ぎない」ことを強みに売り上げ拡大中のチョキペタ。19年3月にはメニューの値上げを行ったが、直近の数字では来店客数、客単価ともに成長を見せている。今後の推移にも目が離せなさそうだ。
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