コラム
半数以上の企業が達成していない「障害者雇用」 意識すべきは「当たり前」のこと:2020年度末までに法定雇用率はさらなる引き上げ(2/3 ページ)
2018年に法定雇用率が引き上げられた障害者雇用。一方で、達成している企業は半数未満にとどまる。なぜ、ここまで障害者雇用は進まないのか。企業が障害者雇用で意識すべきこととは。
企業が意識すべきこととは
障害者雇用で企業が意識すべきことは、「業務の切り出し」だという。「『障害者だから』と企業が構えてしまうのではなく、逆に『どういう仕事であればしてもらえるのか』を考えるために、日々の業務を細かく見直していくことが必要だ」と飯尾氏は話す。「日本の業務は伝統的に、各人の業務が明確に分かれていない『メンバーシップ型』。これを、各人の業務が明確化された『ジョブ型』へと移行することができれば、障害者雇用も進むはず」(飯尾氏)。「適材適所」の意識が、障害者雇用を押し進めるカギのようだ。
特に、最近雇用が増えている精神障害者においては「できること」と「できないこと」の分類が重要になる。抱えている障害によって適した業務は千差万別だからだ。「発達障害」を抱える人であれば、「得意分野を生かせる仕事が向いている」、「マルチタスクは苦手だが、狭く深い業務に対する適性が高い」という特徴があり、経理事務や特許事務など、比較的専門的な事務作業が向いているという。
また、身体障害者は、障害を抱える箇所にケアし、設備面に気を配れば健常者と変わらない仕事をこなすことができる。余計な仕事を省き、抱えたハンデが気にならない仕事を切り出すことが重要になるだろう。知的障害者については、業務をよりマニュアル化し、誰にでも分かりやすいフローを構築することが必要になる。
関連記事
- 「給与を上げれば退職者は減る」は本当か 経営層の考える「退職対策」と現場の乖離(かいり)が明らかに
「給与を上げれば退職者が減る」と考える会社役員は多い。しかし、給与の上昇は本当に退職率を下げる効果はあるのだろうか。トランスの行った調査で役員層と従業員の意識の違いが明らかになった。 - 働き方改革に成功している企業は株価が上昇 「効率」「時短」より重要なものとは?
Great Place to Work Institute Japa(GPTWジャパン、東京都品川区)は、毎年実施している「働きがいのある会社」調査の結果分析を発表した。発表では、働き方改革による効率化や時短化などの「働きやすさ」は向上する企業が多い中、「やりがい」が失われつつある状況が明らかになった。 - 大企業と中小企業、実際に休みや残業が多いのはどっち? 政府統計で明らかに
厚生労働省は10月29日、「平成31年就労条件総合調査」の結果を発表した。同調査は、毎年実施され、今回は2019年1月1日時点での18年中の状況をまとめた。主要産業における労働時間や賃金制度などを調査し、民間企業における就労条件の現状を明らかにすることが目的。 - ”着るこたつ”がワークマンから初登場 「価格破壊」を続ける理由を担当者に直撃
ワークマンが9月5日に秋冬商品の発表会を開催。今年の注目は”着るこたつ”。50度、45度、40度の3段階に温度調節でき、バッテリー付属。最大17時間持続する。昨年売り切れ店舗もあった「アルティメット」もリニューアルして登場。 - 卸売会社の3代目社長は、なぜ「うんこ」へ舵を切ったのか
神奈川県にある「株式会社うんこ」をご存じだろうか。悪ふざけではなく、実際に存在する会社だ。Webサイトを見てみると、うんこスーツやうんこスニーカーなど、幅広いうんこグッズを販売している。5月に行ったクラウドファンディングでは、達成率が500%超。270万円ほどの資金が集まった。いったい、どんな会社なのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.