コラム
半数以上の企業が達成していない「障害者雇用」 意識すべきは「当たり前」のこと:2020年度末までに法定雇用率はさらなる引き上げ(3/3 ページ)
2018年に法定雇用率が引き上げられた障害者雇用。一方で、達成している企業は半数未満にとどまる。なぜ、ここまで障害者雇用は進まないのか。企業が障害者雇用で意識すべきこととは。
実際に採用する際に意識するべきこと
「業務の切り出し」は採用する以前に企業がやるべきことだが、では実際に採用する際にはどのようなことに意識を向けたほうがよいのだろうか。
「面接のときに気を付けることは、『話し合いの場である』と意識すること」と飯尾氏は話す。どういった配慮事項が必要なのか、あるいはどういう業務だったらできるのか。単に企業側が質問を繰り返すだけではない、お互いの合意形成が必要だという。
採用した後に最も大事になるのは「フォロー体制」だ。一般的な企業では、半期や四半期ごとに評価面談を行うところも多い。そうではなく、短期的なスパンで、何がよくて、何が悪かったのか。また、悪かった点についてはどのように改善すべきなのか、といったことをフィードバックすることが定着のカギになるという。そのためには、普段から上司に相談しやすい環境づくりも必要だ。ある企業では、現場の責任者が常に雇用された障害者の横の席で仕事をし、何かあった際にはすぐ相談でき、職場としても対応できる体制を構築しているという。話し合いの機会も、月に3回ほども設けている。
こうした点を踏まえると、障害者の雇用に必要なのは特別なことではなく、一般的な「業務効率化」にひもづいたものであることが分かる。「障害者雇用」と身構えるのではなく、まずは日ごろの業務見直しをするところから始めてみるのがよさそうだ。
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