コラム
同一労働同一賃金が招く“ディストピア”とは?――「だらだら残業」だけではない、いくつもの落とし穴:短時間勤務者には痛手?(4/5 ページ)
2020年から開始する「同一労働同一賃金」。期待を集める一方で、「だらだら残業」を助長したり、短時間で働く人の負担になったりと、さまざまな「落とし穴」も潜んでいるという。しゅふJOB総研所長を務め、労働問題に詳しい川上敬太郎氏が斬る
重視すべきは「時間」よりも「成果」
そこで提案したいのが、「同一“成果”同一賃金」という考え方です。文字通り、成果が同じであれば給与も同じにするというものです。同一成果同一賃金であれば、早退を余儀なくされたEさんは、給与を減らさずに済みます。ひょっとすると、それまでに使い切ってしまった有休も残せたかもしれません。そして、おしゃべりばかりのFさんよりも高い給与を得られるはずです。
先に挙げた企画職のCさんの場合も、残業が多いDさんよりもむしろ給与が高くなります。短時間働くだけでも、十分な成果を上げれば高い給与が得られるのです。
しゅふJOB総研で、管理職やマーケティング、法務などのスペシャリストとして短時間勤務を希望する“スマートキャリア”志向の女性に、望ましい給与の支払われ方について調査したことがあります。
すると、「働いた時間にかかわらず成果に応じて支払われる」を選んだ人の比率が、「成果にかかわらず働いた時間に応じて支払われる」を選んだ人の2倍以上という結果でした。
成果に応じた支払いを希望する人のフリーコメントには、「無駄な時間を減らせる」「残業代としての賃金が高くなるなど不公平」「仕事と育児を両立しやすくなる」などの声が寄せられました。時間より成果重視の考え方はまだまだ一般的ではないかもしれませんが、すでに一定のニーズが存在していることが分かります。
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