2015年7月27日以前の記事
検索
連載

同一労働同一賃金が開く“パンドラの箱”――派遣業界に突き付けられる退職金問題人事ジャーナリスト・溝上憲文の「経営者に告ぐ」(5/5 ページ)

ベテラン人事ジャーナリストの溝上憲文が、人事に関する「経営者が対応すべき施策」を提言する。今回は4月施行の「改正派遣労働者法」について。じつはこの法律は派遣会社の存続を左右しかねない重大な内容を含んでいて、派遣社員を受け入れる派遣先企業にも大きな影響を与える可能性がある――。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

悪質な場合は企業名公表

 派遣先企業が単に派遣料金が安いからという理由で違法派遣を受け入れると、無傷では済まない。許可を受けていない派遣会社から派遣社員を受け入れると法律違反に問われ、悪質な場合は企業名公表などによって社会的信用を失墜させることになる。

 また、違法派遣を受けた時点で、派遣社員を直接雇用にしなければならない「労働契約申込みみなし制度」が適用される(派遣先が違法派遣であることを知らなかったなど過失があれば適用されない)。

 派遣先均等・均衡方式を採る場合には、派遣先が自社の比較対象社員の情報を提供しないときや、また、虚偽の情報を提供したときなども勧告や企業名公表の対象になる。

 施行まで残された時間は少ない。もし手続きが間に合わなければ、派遣社員の生活を含めて大きく混乱する可能性がある。

著者プロフィール

溝上憲文(みぞうえ のりふみ)

ジャーナリスト。1958年生まれ。明治大学政治経済学部卒業。月刊誌、週刊誌記者などを経て独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』で日本労働ペンクラブ賞受賞。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る