コラム
ブラック企業大賞を2年連続で受賞した三菱電機 過労死を繰り返す「隠蔽」の構図を探る:なぜ、痛ましい事件が相次ぐのか(1/5 ページ)
19年夏に三菱電機で発生した社員の自殺。激しいパワハラが問題視されたが、同社のこうした事件はこれが初めてではなかった。なぜ、痛ましい事件が相次いでしまうのか。背景には、遺族の訴訟や申請を「コスト」と見なし、事実を隠蔽する姿勢が透けて見える。労働問題に詳しい今野晴貴氏が解説する。
ブラック企業が社会問題となり、過労死を防ぐ対策を義務付けた「過労死等防止対策推進法」が成立して数年がたつが、2019年も過労死に関するニュースが絶えなかった。トヨタ自動車やヤマト運輸での過労死が明らかになり、さらに電通ではいまだに違法な過重労働がまん延していることが話題を呼んだ。
中でも、大手家電メーカーである三菱電機での過労死事件は大きく報じられた。20代の男性新入社員は、上司から「お前が飛び降りるのにちょうどいい窓あるで、死んどいた方がいいんちゃう?」「自殺しろ」などといったパワーハラスメントを受けたことを理由に19年8月に自死している。
しかし、なぜこれほどにまで過労死はまん延し続けるのだろうか。その背景には、企業側の過労死を促進する労務管理に加えて、過労死が起こった後の苛烈な「過労死隠蔽工作」がある。そして、このような「隠蔽体質」こそが、三菱電機で過労死が繰り返される原因であると考えられる。
遺族らの記者会見や他の事例を踏まえ、具体的に見ていこう。
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