クラウドファンディングをマーケティングに活用 「募金目的」から一皮剥けたワケ:越境サービスも登場(1/2 ページ)
クラウドファンディングの使われ方が、「募金」「資金援助」といったものから「マーケティングチャネル」へと変わりつつある。初期費用があまりかからず、ピンポイントにターゲットを定めてできることから注目を集めているのだという。CROWDFUNDING NETWORK Powered by ENjiNEを提供するRelicの大丸徹也COOと赤木宏志氏に話を聞いた。
「CROWDFUNDING NETWORK Powered by ENjiNE」を提供するRelic(東京都渋谷区)は1月9日、Fun Japan Communications(東京都港区)と共同で越境購入型クラウドファンディングサイト「FUN! JAPAN 海外ネットショップ」を開始した。
FUN! JAPAN 海外ネットショップでは、海外への発送業務や商品情報などの翻訳作業、顧客対応といった越境ECに必要となる業務を企業向けに提供する。これにより、コストやリスクを抑えて海外へのEC展開や、PRなどを行えるという。
少子高齢化により国内市場が縮小していく日本において、企業の海外展開は避けて通れない道へとなりつつある。中でも越境ECは海外市場へと打って出るための有力な手段の1つとされる。一方、越境ECを行う上では現地でのマーケティング活動や、物流手段、決済方法といったハードルがあり、企業が進出しづらい領域でもあった。
こうしたことを背景に、Relicはアジア地域で人気の日本紹介メディア「FUN! JAPAN」を運営するFun Japan Communicationsとタッグを結成。当初、サイト上では「日本刀をモチーフにしたハサミ」や「瓶の口に挿入するコルク型スピーカー」などを販売するという。
クラウドファンディングがマーケティングチャネルに?
日本においてクラウドファンディングは、2010年3月にオープンした寄付サイトの「ジャストギビング」を皮切りに、「READYFOR」「CAMPFIRE」などが続々参入。当初は「寄付」「資金調達」といった使われ方が多かった。ところが、初期費用があまりかからず、クラスタごとにピンポイントでマーケティングできることから、最近はクラウドファンディングを「マーケティング」として捉える企業が増えてきているという。矢野経済研究所によると、国内クラウドファンディングの17年度市場規模は約1700億円。18年度には2040億円ほどにのぼるとみられ、200億円ほどだった14年度と比較して、4年ほどで10倍ほどに成長している。
クラウドファンディングでは一般商品のマーケティングではなく、珍しい商品を扱うケースも多い。例えば、社内の企画会議で通らなかった企画を「β版」としてクラウドファンディングに出品するケースだ。従来であれば、卸や代理店を通して小売店で販売するため、一定以上のコストがかかる。ということは、それなりに売り上げを期待できる商品でなければ、販売することは難しい。
しかし、クラウドファンディングであれば、初期費用はほとんどかからない。さらに、定価をメーカー内で決めることもできるので、さまざまな試行錯誤もできるという。「当社のサービスを利用している企業の担当者は、『クラウドファンディング』ではなく『テストマーケティング』として捉えている」とRelicの大丸徹也COOは話す。
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