クラウドファンディングをマーケティングに活用 「募金目的」から一皮剥けたワケ:越境サービスも登場(2/2 ページ)
クラウドファンディングの使われ方が、「募金」「資金援助」といったものから「マーケティングチャネル」へと変わりつつある。初期費用があまりかからず、ピンポイントにターゲットを定めてできることから注目を集めているのだという。CROWDFUNDING NETWORK Powered by ENjiNEを提供するRelicの大丸徹也COOと赤木宏志氏に話を聞いた。
クラウドファンディングに必要なのは「ターゲティング」
大丸徹也氏は「商品企画のクラウドファンディングで1000万円が集まっても、なかなかその後で一般層に広がらず苦戦しているケースは多い」と話す。その背景には、そもそもクラウドファンディングを利用する人の属性にある。
クラウドファンディングの利用者は新技術に興味関心を強く持つ、いわゆる「イノベーター」層に属する人が多い。そのため、クラウドファンディングには成功しても、その後までプロジェクトが継続して成功するケースが少ない。
「さらに分解すると、クラウドファンディングの失敗は、そもそもプロジェクトに魅力がないというケースと、ターゲティングを誤っているケースの2パターンがほとんど。また、せっかくクラウドファンディングプラットフォームを立ち上げても、プロジェクトが少なく、盛り上がりに欠けるケースも多い」と大丸氏は話す。
こうした失敗の分析を踏まえ、Relicが提供するクラウドファンディングプラットフォームは「ネットワーク」の形を取っている。いくつかの制約はあるが、Relicが提供するクラウドファンディングプラットフォームを使い、自社でクラウドファンディングを運営するA社が出品を受け入れた場合、同じくRelicのサービスを使うB社のクラウドファンディングプラットフォームにも出品できる。これにより、さまざまなプラットフォームに出品できるため、商品がどういったターゲットに適しているのかを容易にテストできる。また、それぞれのプラットフォームに商品が多く並ぶため、閑散としたイメージを利用者に与えることもない。
このうち、Relicはクラウドファンディングのシステム手数料や売り上げにかかる手数料でマネタイズしている。売り上げに関する手数料は、クラウドファンディングのパターンに応じて集まった金額の10〜20%を出品者から徴収。Relicと運営者で分配する。
Relicのサービスは、2016年11月に日本経済新聞社と始めた「未来ショッピング」を皮切りに、今や各地の新聞社が導入し始めている。各メディアが率先して導入する背景には、「どこよりも早く面白いネタをつかみたい」といった思惑もありそうだ。
今回の越境EC展開に関して、赤木宏志氏は「日本国内でうまく展開できていたことを、海外でも試したい」と話す。当初は台湾への展開だが、今後は世界各国での展開も視野に入れているという。
【お詫びと訂正:2020年1月16日9時23分の初出で、「Relicのサービスは、2016年2月に日本経済新聞社と始めた」となっておりましたが、誤りでした。正しくは「2016年11月」です。1月16日19時、該当箇所を訂正し、その他の箇所についても一部修正を行いました。お詫びいたします。】
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