小泉大臣も注目すべき「男性の育休」の意外な効果 ダヴが広げる“支援の輪”とは:世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)
小泉進次郎環境大臣が育児休暇を取得すると表明し、話題になっている。実は、米国においても男性は育休を取得しにくい状況だ。それを変えようと「ダヴ」と著名起業家が啓発活動を行っている。育休制度の充実は、夫婦だけでなく子ども、企業にも良い効果がある。
育休制度の充実は優秀な人材を呼び込む
オハニアンは、「企業が軍拡競争のように、どの企業が最も良い手当を提供できるか競い合うのが見たい」と語る。それによって、雇われる側も、従業員が健全にどんどん育休を取っている企業を選ぶようになればいいと言う。
特に、日本のように少子化で人口が減っていく中で、これからは企業も、よい待遇を提示して優れた人材を獲得し、会社にとどまってもらう必要がある。充実した育休制度も、優れた人材を呼び込む要素の一つになるかもしれない。
こうした変化に向けた第一歩として、小泉大臣のケースは歓迎すべきではないだろうか。いま生まれ育っている子どもたちは、今後、私たちがいなくなってからも日本という国を支えていってくれるはずである。そう考えれば、政治家として子どもを大事にするのは当たり前である。自宅からもテレワークをすると言っているのだから、責任を放棄しているとは思わないし、大臣を辞める必要もない。周りが抜けた穴を補えばいい。
有名な大臣が普及を促す目的で育休を取るのは素晴らしいことだ。ちなみに、筆者は小泉信者でもないし、大方の見方と同じように、彼が政治家として大した実績を残していないとも感じている。さらにいうと、小泉大臣には、不倫問題や政治資金の問題が浮上しており、それについては国会議員としてきっちりと説明責任を果たしてほしいと切に願っている。税金が絡んでいる以上、そこは逃げるべきではない。さもないと、自身の言葉に説得力がなくなっていく。
このまま、育休を取った最初の現職閣僚という肩書だけで終わらないよう、きちんと政治家として説明責任を果たしてほしいものだ。
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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