少なすぎる残業に要注意! 組織を崩壊させる「粉飾残業」のあきれた言い訳と手口:たかが残業、されど残業(4/5 ページ)
2019年4月に施行された働き方改革関連法案で、大企業を対象に残業規制の強化がなされた(中小企業は20年4月施行)。すると、今までは多すぎた残業が、今度は少なすぎるという問題が起きているという。残業規制をかいくぐる悪質な「粉飾残業」とは?
過度な「監視」は禁物
監視がエスカレートすると、社員は反発する。頭では理解できても、感情が先に出てしまうからだ。すると、監視の「穴」を探そうとする者も出てくるだろう。物理的にシャットアウトすると、ジタハラ(時短ハラスメント)につながることもあって、こうなると、もういたちごっこだ。
繰り返しになるが、組織改革は個人個人の意識を変える努力がなければ、成し遂げられない。このプロセスを飛ばして、強硬策をとるべきではない。そもそも、なぜ人は粉飾しようとするのか? その心理を理解することから、始めていこう。
「粉飾決算」も「粉飾残業」も同じ。粉飾する人が、「思考停止」状態になっていることが、問題だ。さらに、会社側が強硬な姿勢をとると、組織全体が「思考停止」になってしまう恐れがある。これが怖い。
「風邪は万病のもと」とも言われる。工夫せず、一度安易な抜け道を探そうとすると、このような思考はクセになる。組織のあちこちにほころびが出はじめ、モラルハザードへと一直線なのだ。
残業削減は「業務改善」ではなく「組織改革」
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。これまでにいただくオファーの大半は「本業による売上目標の達成」を支援することだった。ところがこの1〜2年で、残業削減の支援も大幅に増えた。
当然だろう。売上や利益目標を達成できなくても「違法」にならないが、規制上限をオーバーした残業は「違法」になる。経営者の本気度はマックスだ。このような本気の経営者と現場支援に当たってきた。そんな立場だから、言えることがある。
それは、多くの人が想像している以上に、残業削減は難易度が高い、ということだ。甘く見ていると足をすくわれる。なぜなら、残業削減は「業務改善」ではなく「組織改革」だからだ。
組織風土は、人間の思考パターンそのものの集積だと私は考えている。そして、思考パターンは過去の体験の「インパクト×回数」でできている。だからこそ、そう簡単に変えられるようなものではない。ことベテランであるほど、現状維持バイアスがかかってしまう。
ゆえに、地道なケアや、組織と従業員に合わせたアレンジメントが必要なのだ。
関連記事
- それでも“インフルエンザ出社”がなくならないワケ くだらない「武勇伝」づくりはもうやめよう
インフルエンザが流行する季節になった。その感染力の強さから、り患した場合には自宅で静養することが望まれる。学校などでは出席停止の措置が義務付けられており、熱が下がったからといってすぐに登校できるようにはならない。一方、職場では「季節性インフルエンザ」に関する明確な規定がない。そのため、インフルエンザになっても無理を押して出社する人も少なからず存在する。また、熱が下がれば「すぐに出社しないと」といった空気も存在する。なぜ、はた迷惑な「インフル出社」が起こってしまうのか。 - 課長の平均年収は932万円、部長は? 外資との「格差」も明らかに
日本で活動する企業の報酬状況が発表。日系企業と外資系企業合わせて679社が参加した。調査結果では課長職や部長職の平均年収も明らかになった。日系企業と外資系企業の報酬格差も合わせて発表し、特に役職者以上で顕著な開きがあった。 - ワタミがホワイト企業大賞の特別賞を受賞 表彰式には渡邉美樹会長が笑顔で登場
ワタミの「三代目鳥メロ」がホワイト企業大賞の特別賞を受賞した。「働く一人ひとりのチャレンジ精神賞」という賞で、「創業当初からのビジョナリーな哲学を守りつつも、現場の一人一人が新しい組織になっていこうとチャレンジしている」点が受賞理由。同社は近年、労働環境改善に注力している。表彰式には渡邉美樹会長が笑顔で登壇した。 - 「給与を上げれば退職者は減る」は本当か 経営層の考える「退職対策」と現場の乖離(かいり)が明らかに
「給与を上げれば退職者が減る」と考える会社役員は多い。しかし、給与の上昇は本当に退職率を下げる効果はあるのだろうか。トランスの行った調査で役員層と従業員の意識の違いが明らかになった。 - 年収1000万円以上でも「現実は厳しい」が半数以上 既婚高収入男性の「おこづかい制」率は?
年収1000万円以上の男性に関する調査が発表。既婚男性を対象に、家庭のお財布事情を調べた。勝ち組と目されることも多い年収層でも「現実は厳しい」と回答した人は多かった。おこづかい制の割合に関しても調査を行った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.