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小泉進次郎氏が叫ぶ「空気を変える」はズレている 男性育休が増えない真因:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
小泉進次郎環境相の「育休宣言」が話題になっているが、「空気を変える」と政治家が連呼することには違和感がある。確かに育休を取りづらい空気はあるが、それだけではない。男性が育児をするための「時間」を増やす政策が最も必要なのではないか。
家事・育児に必要なのは「時間的余裕」
興味深い調査結果があります。
- 配偶者の労働時間が長くなると、本人の労働時間も長くなる
- 夫の家事時間は、妻の労働時間が自分より長いときに増える
- 夫と妻の家事時間は、一方が増えれば他方が減るといったトレードオフは認められない。家事は妻が主導的に行い、それを夫がサポートするという姿が浮き彫りになった
- 夫の育児参加は、妻の夫婦満足度を高める効果あり。一方、夫の家事参加は、妻の夫婦満足度に影響なし
- 妻の夫婦満足度には「夫への心の支え信頼度」「夫への経済的信頼度」が関連するものの、「心の支え信頼度」の影響力は、経済的信頼度の3倍もある
- 夫の家事参加と夫の情緒的サポートでは、妻の夫婦満足度には情緒的サポートが影響
- 上記のことから、夫の家事参加には、意識変革を目指す啓蒙活動より、職場環境を改善することによる「時間的余裕」が必要である
これらは内閣府のWebサイトで「男性家事」で検索をしたところヒットした資料に書かれていた内容です。男性の家事育児参加や、家事育児と仕事のストレス(男女)、夫の家事参加と夫婦満足度・妻のストレスに関する国内外の文献をレビュー。30件超の短報や原著論文の、「研究の概要・対象と、方法・結果・インプリケーション」が、この資料に一覧にしてまとめられていました。
もっとも、これは「育児」ではなく「家事」に関するものですが、育児にも同様のことがいえるのではないでしょうか。
例えば、男性の週実労働時間と、子ども(末子)と平日過ごす時間の関係を見ると、労働時間が週50時間を超えると、「3時間以上」子どもと過ごす割合が約2割に減り、週60時間を超えると「0〜30分未満」が4割以上に増えるなど、子どもと過ごす時間があまり取れない状況になるといった調査結果が出ている。
育児休暇は「子どものいる人だけ」の権利になりますが、「時間的余裕」は全ての人が享受できる。時間的余裕を増やすことで、男性が育児することへの偏見の解消にもつながると期待できるのではないでしょうか。
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