イチゴが近づいてくる! 農業を救うかもしれない「自動化」の現場を探る:効率化、新規参入につながるか(3/5 ページ)
農業の現場は高齢化や人材不足に陥っている。その解決に役立つと期待される技術が「自動化」だ。イチゴが動くことで収穫の作業負担を軽減する「イチゴ移動栽培装置」、経験がなくても適切な水やりができる「自然給水栽培装置」。この新しい技術を佐賀の現場で体感した。
生食用にも出荷できる品質に
ベンチの動きや潅水・防除などをシステムで管理していることから、設定した時間に自動運転が開始されたことをメールで知らせる「遠隔通報装置」も備えている。装置に異常が発生した際にも通知するため、ヤンマーグリーンシステムの担当者が客から電話などで連絡を受ける前に異常を察知し、迅速に対応することができる。
設置にかかるコストは1反(約10アール)あたり2000万円程度だという。ジェイエイビバレッジ佐賀の設備は、一部の費用をみやき町のふるさと納税で賄っている。
ジェイエイビバレッジ佐賀への導入を担当した、ヤンマーグリーンシステム九州支店専任部長の徳川博人氏は「高齢化によりイチゴの収穫量は減っている。ジェイエイビバレッジ佐賀でも、省力化が課題になっていた。10〜20年先を見据えて、この装置を導入する意義があると考えた」と話す。
導入初年度は、装置に適した苗づくりや、気温などの条件に適した管理といった部分で調整に難しさもあったという。収穫量や作業量に対する効果測定は今シーズンを通して実施していくが、収穫できているイチゴの品質に問題はないようだ。「(ジャムなどの)加工用の『さがほのか』の栽培から始めたが、うまくいっているため、現在は生食用にも出荷している」(兼崎氏)という。
「来年は、佐賀県の新しい品種『いちごさん』を植えたい」と徳川氏は意気込む。「イチゴが動く」という新しい栽培方法はまだ始まったばかりだが、課題解決の切り札へと育っていくかもしれない。
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