埋没気味だった「喜多方ラーメン坂内」が逆襲を開始 あっさり味が国内外で支持されそうな理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/6 ページ)
1990年のピーク時には89店を展開していた「喜多方ラーメン坂内」。最近は埋没気味だったが、米国に進出したり、国内の店舗数を増やしたりしている。「あっさり味」が武器になる理由とは。
チェーン店らしからぬこだわり
坂内にはチェーンらしからぬ手づくり、出来立てへのこだわりがある。スープとチャーシューは、店内で仕込む。すっきりしたスープは、豚骨だけを使っており、じっくりと時間をかけてコトコトと煮込み、うまみとコクを引き出す。
チャーシューはスペイン産の豚肉を使う。現地を視察し、3週間の熟成をかけて冷凍輸入している。スペインでは成長ホルモン剤を使わずに豚を育てるので、個体は小さいが身の締まった肉質となる。世界的な豚コレラの流行で、安定的なチルドの豚肉の確保が困難な情勢だが、スペイン産ならば冷凍でもチルドと遜色ないとろけるようなやわらかさに仕上がる。店内で1日に2〜3回チャーシューを仕込んでおり、余分な脂が落とされるのでカロリーも控えめだ。
麺は東京にも工場がある喜多方の曽我製麺から仕入れる。スープによく絡む手もみの縮れ麺で、平打ち熟成多加水麺となっている。もっちりシコシコの独特な食感は、完全自動化した機械製麺では実現できず、全ての麺を工員の手作業による手もみ工程を経て製造している。
客単価は830円。一番人気はチャーシューが5枚入った「喜多方ラーメン」(税込680円)で、顧客の4割が注文する。麺が見えないほど丼にチャーシューが盛られた「焼豚ラーメン」(970円)は看板メニュー。期間限定の季節メニューもある。
トッピングは、味付玉子、ワンタンなどがそろっている。サイドメニューでギョーザ、ご飯物のチャーハン、炙り焼豚ご飯などが提供されている。
なお、喜多方ラーメンの定義にはスープは関係なく、平打ちで中太の手もみ縮れ麺を使うことが条件となっている。しょうゆ、塩、みそ、いずれの喜多方ラーメンも存在し、喜多方市内には背脂が浮いた濃厚なスープを出す店も存在する。
しかし、縮れ麺がスープによく絡むことから、坂内では濃厚なスープだと食感が重くなり過ぎるので、淡麗なスープが最も相性が良いと考えている。坂内で使用する麺は、加水率が40%と高く、うどんと同じくらいなので消化が良い。
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