2020年版働きがいのある会社ランキングが発表 「働きやすさ」と「働きがい」を両立するためにどうすればよいのか:下がる日本企業のエンゲージメント(2/3 ページ)
GPTWジャパンが「2020年版 日本における『働きがいのある会社』ランキング」を発表。国内版は今回で14回目の発表となる。働き方改革の効果もあってか、「働きやすさ」が向上する一方で、「働きがい」に悩む企業が多いようだ。
「働きやすさ」は向上したが……
企業全体の傾向を見ると、「働きやすさ」が多くの企業で改善した。前回と今回、2回連続で調査に参加した企業でポイントが改善した項目上位6つには「必要なときに休暇がとれる」「仕事と生活のバランスをとるように奨励されている」といったものが挙がった。
一方、ポイントが低下した項目には「経営・管理者層の期待していることが明確になっている」「この会社には『家族』『仲間』といった雰囲気がある」といった項目が並ぶ。GPTWジャパンの岡元代表は「今回の結果を見ると、働きやすさが向上する一方で、日本企業の働きがい、エンゲージメントが下がってきていることが分かる」と分析する。
その理由については、価値観の変化を挙げた。「自分でしっかりと納得して仕事をしたい、という人が増えている」(岡元氏)。日本企業は「背中を見て学べ」という空気が強く、口に出して期待している役割を伝える文化がなかなかない。そのため、従業員が「この仕事は何のためにするのか」「自分は何をすればよいのか」ということに悩んでしまい、結果的にやりがいが下がってきているという。
岡元氏は、働きがい向上のキーワードを「信頼感」とした。全体として従業員のエンゲージメント、働きがいが下がっている中でも「ベストカンパニー」に選出された企業は、こうした「信頼感」の醸成をうまくできているようだ。基準に達せずベストカンパニーに選出されなかった企業と比較すると、「納得感」や「信頼感」を示す項目で差が出ている。
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