韓国で広がる「感染者追跡アプリ」の賛否 テクノロジーを感染防止にどう使うのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、感染者が多い中国や韓国では、感染者情報を提供したり、健康状態を登録したりするアプリが使われている。情報管理やプライバシーの問題はあるが、感染症対策にテクノロジーを取り入れることは有効かもしれない。
韓国で広がる「感染者情報提供アプリ」
とにかく、国内外で混乱が続いている新型コロナウイルスだが、世界的にスマートフォンやSNSなどがここまで普及している中での感染症の世界的拡大は人類にとっても初めての経験だ。ゆえにフェイクニュースなどが蔓延(まんえん)しているのだが、一方で、国外に目をやると、新型コロナ対策に使える、効果的だとも思えるスマホのアプリも登場している。
今世界的に感染が広がっている国として世界から注目されているのは、中国や韓国、そしてイタリアだ。コロナの死者が徐々に増えている米国は、イランからの入国やイランへの渡航を禁止し、イタリアと韓国への渡航勧告を最大の警戒レベルに上げている。
日本に近い中国や韓国でも、感染者数と死者数は増加している。そんな中、韓国では新型コロナの感染を防ぐためのスマホのアプリが使われている。というのも、感染が懸念されてから、韓国内ではエンジニアたちがいくつものアプリを提供している。現在、韓国でアプリのダウンロード数トップ15のうち、6つは新型コロナに関連するものだという。
例えば、感染者情報を逐一提供するアプリがある。2月はじめに登場してから早くも100万ダウンロードされているというそのアプリは、感染者の国籍や性別、年齢と、感染者が訪れた場所などの追跡もできるという。プライバシー的に問題がありそうだが、感染拡大防止のためにはやむを得ないということだろう。
「コロナ100m」というアプリは、ユーザーが新型コロナの患者から100メートルの距離に来たら教えてくれるもの。1時間当たり2万人がダウンロードした人気アプリになったという。韓国疾病対策センターなど政府系機関から情報を得て、感染者の国籍や年齢、性別、移動履歴などを地図で示す。同じく地図で感染者の移動履歴を示す「コロナ・マップ」というアプリも人気になっている。
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