韓国で広がる「感染者追跡アプリ」の賛否 テクノロジーを感染防止にどう使うのか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、感染者が多い中国や韓国では、感染者情報を提供したり、健康状態を登録したりするアプリが使われている。情報管理やプライバシーの問題はあるが、感染症対策にテクノロジーを取り入れることは有効かもしれない。
中国では感染の危険を「色」で判別
また今回のコロナの発生源である中国でも、アプリが広く使われた。こちらは、中国政府主導で行われている。
中国の二大IT企業であるアリババとテンセントがアプリを開発し、感染の恐れがある人を管理している。ユーザーはアプリをダウンロードし、個人情報や移動状況、せきや体温など健康状態を登録することで、自分が新型コロナに感染している可能性があるかを判定する。
危険性があると判断されれば赤色のQRコードが送られ、14日間外部との連絡を断つように指示され、その間の健康状態を報告することになる。黄色のQRコードを受け取った人は、少し怪しいという判断がなされたことを意味し、7日間自らを隔離して健康状況をアプリを通して報告する。緑色のQRコードなら問題はなく、自由に生活を続けていい。
そして公共施設や地下鉄、スーパーマーケットなどに入る際には、この色分けされたQRコードを見せる必要がある。こうしたアプリで健康情報などを登録して色付きのQRコードを受け取って見せない限り、地下鉄なども使えないという。赤色ならばどこも入れてくれないということになり、下手すれば通報される可能性がある。これにより、住民同士がお互いを監視し合うことになる。プライバシーなど無視できる中国ならではのやり方だと言えよう。今回感染のはじまりとなった浙江省では9割の市民がこのコードを取得している。
また、新型コロナの感染が広がっている場所を示すアプリなどもあり、韓国同様、感染者や感染地域の情報をアプリで提供していることが分かる。そういう場所には近づかないように、ということだ。
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