2015年7月27日以前の記事
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日本の生産性を押し下げる「経費精算」が無くならない根本理由本当に効率を上げるためのSaaS(2/6 ページ)

多くの会社員にとって、最も身近な事務処理、経費精算。しかし社員、経理担当者の双方にとって経費精算処理の難しさは、領収書などの原本回収が必須になることだ。電子帳簿保存法の改正はあったが、現時点でも導入企業はたったの2000社弱。中小企業にとってはむしろ導入コストや運用コストが増えるだけで、ほとんどメリットがないのが電子帳簿保存法だ。

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導入が進まない電子帳簿保存法

 請求書や領収書を、原本の代わりに電子的に保管することは、2005年の電子帳簿保存法の改正により認められることになったが、実は導入はほとんど進んでいない。何度かの法律改正を経て、スマホで撮影した画像でも対応できるなどの緩和が図られたが、現時点でも導入企業はたったの2000社弱である。


国税庁が書類の電子保存をうながしているパンフレット

 これだけPCやスマホが普及しているにもかかわらず、導入企業が増えないのはなぜなのだろうか。大きな問題は領収書画像の保管ではなく、確認プロセスの煩雑さが解消されないことにある。

 電子帳簿保存法では、原本の代わりに画像データの保管で済ますためには、経費精算で申請された内容について、経理で原本確認を行った上でタイムスタンプを付与する必要がある。

 つまり、スマホで撮影した領収書で申請を上げたとしても、経理が原本を回収して確認しなければいけないことには変わりがない。そして、原本は税理士などの定期検査を行った後でようやく破棄することができる。

 原本を7年間保管する必要はなくなるというメリットはあるものの、その前の回収や確認のプロセスはこれまでと全く変わらないのだ。従業員が数万人いる大企業にとっては、保管スペースの削減などで効果はあるかもしれないが、中小企業にとってはむしろ導入コストや運用コストが増えるだけで、ほとんどメリットがないのが電子帳簿保存法というわけだ。

 経費精算ソフトを提供する会社は必死に電子帳簿保存法対応をアピールするが、これでは導入が進むわけがない。原本の改ざんリスクやカラ経費の申請などの不正を防ぎたいという立法側の意図は分かるが、現時点では電子帳簿保存法へ対応しても、多くの企業にとって全く業務効率化つながらない話になってしまっている。

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