ベイスターズ初代球団社長が語る、コロナ時代に必要な「変える力」とプロ野球生き残りの道:池田純のBizスポーツ(3/4 ページ)
新型コロナウイルスの影響で窮地に立たされるプロスポーツビジネス。「コロナの時代」を見据えた経営に必要なものとは? 親会社や前例にとらわれない「変える力」こそ必要だと、埼玉ブロンコスオーナー/横浜DeNAベイスターズ初代球団社長、池田純氏が解説する
「サバイブ」に必要なものは何か
プロ野球に限らず多くのプロスポーツが、このコロナ禍の中で試合を「やる、やらない」といった検討ばかりを繰り返し、結論を引き延ばしてきたようにも見えます。「無観客」という言葉を議論するのも結構ですが、無観客で開催することは誰にとっても最終的な目標ではありえません。無観客をテーマにいくら議論しても、“ビフォーコロナ”の世界を超える明るい未来は見えず、マイナスありきの議論にどうしてもなってしまう。無観客の先に何を志すのか。どう在り方を「変える」のか。その志を持って「無観客」を議論しなくては、根本的な解決にはなりません。
私はこの春に男子バスケットボール「Bリーグ」の3部(B3)に属する埼玉ブロンコスのオーナーになりましたが、今はとにかくサバイブすることを第一に取り組んでいます。ありがたいことに、こんなコロナ禍の中で新たな挑戦に踏み出す埼玉ブロンコスの姿に共感し、一緒に取り組み、挑戦しようとしてくれる会社も出てきています。しかし、議論や検討ばかりで結論が引き延ばされると、中途半端に出銭が増えていくばかり。大企業の“ミルクマネー”や大きな後ろ盾のない組織がサバイブする上で重要なのは、とにかく出銭を減らすことです。先送り、横並び、忖度(そんたく)。そんな悪しき日本の風潮の中では物事が見えず、サバイブできるものもできなくなります。
「ドイツ・ブンデスリーガを参考に」「メジャーリーグの先例を待って」――などと言っていても、各国で感染状況も経営環境も違う。経営的に余力のあるプロ野球はプロ野球で、DAZNマネーへの依存度が高いJリーグはJリーグで。それぞれのやり方で、先回りして決断しなければ、サバイブすることなどできません。
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