検察庁法騒動から見る、Twitterの“大きすぎる影響力”と功罪:世界を読み解くニュース・サロン(4/6 ページ)
政府が検察庁法改正案の成立を見送った。Twitterで巻き起こった反対運動がその背景にある。政府にも影響を与えるTwitterのプラットフォームをどう捉えるべきか。海外では大量の偽アカウントが暗躍しているのが現実。実態を知った上でビジネスにも使うべきだ。
中国関係は20万件削除、偽アカウントとのいたちごっこ
そんな事態を深刻に捉えているTwitter社やFacebook社は、偽アカウントなどを次々と削除する措置をとり、政治的な広告(広告費を払って政治的なメッセージを広く拡散させるサービス)を中止したり、制限したりしている。
またTwitter社は週に750万アカウントを自動的に削除し、2019年は3カ月で22億アカウントを削除しているというのだから、もはやいたちごっこの様相だと想像がつく。つい先日の4月、Twitter社は、セルビア、サウジアラビア、エジプト、ホンジュラス、インドネシアの政府とつながりのある、2万もの偽アカウントを削除したと発表している。例えばセルビアのケースでは、アレクサンダル・ヴチッチ大統領を支援する偽アカウント8558件が削除された。
19年には中国政府につながる偽アカウント5000件を削除し、そのアカウント情報を公開している。加えて、中国がらみの20万件のアカウントも削除したという。中国国内ではTwitterは禁止されているが、中国に有利になるような対外的なスピン(情報操作)やプロパガンダ、フェイクニュースをばらまくために、毎日300〜400件の偽アカウントが作られているという。これらのアカウントが中国に対するイメージ向上や、米国や日本などライバル国をおとしめることを目的にツイートを続けている。
ナチスの“プロパガンダ大臣”として知られるヨーゼフ・ゲッベルスは「ウソも100回言えば真実になる」と主張したとされるが、Twitterでは世界中で日々それを狙ったような活動が繰り広げられているのである。
そういう現象が日本でも起きていたとしても何ら不思議ではない。
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