検察庁法騒動から見る、Twitterの“大きすぎる影響力”と功罪:世界を読み解くニュース・サロン(6/6 ページ)
政府が検察庁法改正案の成立を見送った。Twitterで巻き起こった反対運動がその背景にある。政府にも影響を与えるTwitterのプラットフォームをどう捉えるべきか。海外では大量の偽アカウントが暗躍しているのが現実。実態を知った上でビジネスにも使うべきだ。
当てになるのはリテラシーのみ
そもそもTwitterは誰でも無料でオープンに発言できたり、さまざまな考え方を投稿してコミュニケーションをとったりできるツールとして人々の心をつかんだ。それが幅広く市民権を得たことで、その影響力を利用しようとするたちが出現し、悪意ある使い方もされるようになった。
ただ、ここまで影響力を持つようになったTwitterをこのような曖昧な状態で放置しておいてもいいのか――。そんな疑問も湧いてくる。
もちろんTwitter社側も、既に述べた通り、政治広告を禁じたり、偽アカウントやボットなどを削除したりしている。だが何年にもわたって同じことが繰り返されており、今後もすぐに大きな変化をもたらすような対策が行われることはなさそうだ。
そうなれば、当てになるのは自分のリテラシーのみである。少なくとも、実態を知っておく必要はあるのではないだろうか。
MITの研究では、こうも指摘している。「私たちは21世紀に、情報のエコシステムについて、あらためて設計し直さなければならない」
筆者プロフィール:
山田敏弘
元MITフェロー、ジャーナリスト、ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)がある。テレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。
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