ひとりで悩んでは出口が見つからない:集中連載 新型コロナで経済死しないための方法 (1/3 ページ)
「もうダメだ。死んでしまおう」と思う零細経営者の気持ちは、身を持って分かるし、役に立ちたい。そう思うと、しがない物書きの筆者にできるのは、切羽詰まった人が、生きるために役立つ情報の提供しかない。
筆者は、一連のコロナ騒ぎでとてもジリジリしている。このままでは多くの人が死んでしまう。
医学的な面ではおそらく何の力にもなれないが、経済破綻による自殺予防なら、わずかながら力になれるのではないかと思うのだ。なぜなら、筆者自身、万年金欠の零細企業経営者で、何度も「もうダメだ」というところまで追い詰められたし、正直にいえば、「もう死ぬしかない」と思ったことだって何度もある。それでも本当に奇跡としかいいようがないが、会社はこの9月で13期目に入る。生き延びているのだ。
「過去は大変だったが、今では奇跡の復活」というわけではない。貧しいのは今でも変わらない。自動車評論家という職業ながら、もう8年くらいクルマを持っていない。維持できないからだ。試乗会に呼ばれたはいいが、現地まで行くお金がなく、キャッシングでお金を用立てていた時代だってあるし、数カ月先にまたそうならない保証はない。
こうやって原稿を書いてもギャラなんて知れている。築45年のオンボロ事務所兼住居の家賃程度しか稼げない。ネットでは「自動車評論家はメーカーから賄賂をもらってガハガハだ」と陰口を叩かれながら、お天道様に恥じない赤貧生活を送っている。別に貧乏が誇らしいわけではないけれど、それが自分の才覚なのだ。それで生きていくより仕方がない。
原稿料だけでは単月レベルで大赤字なので、元編集者としてのスキルを生かして、自治体や企業の制作物を作って生きている。パンフレットやWebページを制作する貧乏制作会社だ。ただしこういうものは、みな競争入札で、必ず仕事が取れるという保証はない。潜在的失業者であり、今年の年末までやっていけるかどうかは、やっぱり分からない。もしかしたらその頃には自動車評論家なんて廃業し、老体に鞭打ってトラックかタクシーの運転をしているかもしれない。
筆者もあなたと同じ側の人間だ
こんな恥をさらすのは、筆者もあなたと同じ側の人間だといいたいだけだ。恵まれた安全な立場から、追い詰められた人に「こうやれば助かりますよ」と善意を振りまいているわけではない。自分自身が生きるか死ぬかの中で経験してきたことが、少しでも役に立つなら恥のかき甲斐もあろうということだ。
「もうダメだ。死んでしまおう」と思う零細経営者の気持ちは、身を持って分かるし、役に立ちたい。そう思うと、しがない物書きの筆者にできるのは、切羽詰まった人が、生きるために役立つ情報の提供しかない。
自分の経験だけでは足りないから、あらゆる伝手を頼って、追い詰められた零細経営者の対処法をレクチャーしてくれる人を探した。そうしてたどり着いたのが、全国サービサー協会初代専務理事の森本浩さんだ。森本さんに事情を話してお願いしたところ、「それは重要なことですね」と快諾を得て、リモート取材を受けていただいた。森本さんには心より感謝している。
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