ひとりで悩んでは出口が見つからない:集中連載 新型コロナで経済死しないための方法 (2/3 ページ)
「もうダメだ。死んでしまおう」と思う零細経営者の気持ちは、身を持って分かるし、役に立ちたい。そう思うと、しがない物書きの筆者にできるのは、切羽詰まった人が、生きるために役立つ情報の提供しかない。
死なないために知っておくべきこと
日本は先進国だ。先進国では「貧乏人は死ね」という制度設計にはなっていない。本当に最後の最後、どうにもならなくなったら、破産して生活保護をもらう手がある。それが可能な制度設計になっているし、卑怯な手でも何でもない。われわれが今まで払ってきた税金で作り上げられた制度だ。
しかし、そういう制度が完備されているにもかかわらず、毎年多くの人が経済的理由で自殺してしまう。それは、制度を悪用する人をブロックする仕組みに、本当に必要な人までが引っかかって、制度が利用できなくなったり、役所の窓口で冷たくあしらわれた話が世の中に出回って、自分も救われないと絶望してしまったりするからだ。
あるいは、裁量権を持った相手を、拝み倒したり説得したりして、自分が正当な制度利用者であることを説明することに、著しく自尊心が傷ついてしまう。まともな人格であればあるほど、自分自身が生活保護をもらうために、頑張ることはできないし、さまざまな障壁に立ち向かえない。
しかし、そもそも今回の経済問題は、個人の失敗ではない。コロナはこの世界に襲い掛かった危機であり、経営者の責任だけだと受け止める必要はない。これは人類全体の災厄なのだ。あなたが恥じる理由はどこにもない。
筆者は一応文章で生計を立てているけれど、それでも精神的に追い詰められた状態で、いわゆるお役所言葉まみれの申告手続きの説明を読むのは無理だ。ただでさえ悲観的な考えに支配されている中で、支給の条件とか、必要な資料とかを読んでいると、どうしたって「何だかダメそうだなぁ」という気分にしかならないし、窓口で厳しく却下されるイメージしか湧かない。事業そのものが行き詰まっている中で、残りわずかなやる気を振り絞って、わざわざ辱めを受けに行きたくないと諦めてしまう気持ちはよく分かる。いろんなことに立ち向かうエネルギーが枯渇しているからだ。それより差し迫る支払いをどうするかの方が、喫緊の問題に思えてくる。
関連記事
- ドイツはどうやって「2日」で助成金支払いを実現したのか? 開発元銀行インタビュー
コロナ危機に対して、ドイツ・ベルリンでは、助成金支給のシステムを2日で開設し、オンラインで申し込むと即座に5000ユーロが振り込まれるという、素早い対応を取った。この仕組みの裏側はどうなっているのか? ベルリンで給付を担当したInvestitionsbank Berlin(以下IBB)へインタビューした。 - 経営者必見 新型コロナ対策で税金が「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」
新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言による外出自粛などの影響を少しでも緩和するため、打ち出された緊急経済対策の中には、税制の特例も含まれている。税金の制度は、経営者として事業を守るため積極的に使っていくべきだが、名称からして分かりにくいものが多い。自身が対象となるか分からない事業者も多いだろう。そこで事業者向けに新型コロナ緊急経済対策の税制について簡単に紹介したい。 - 新型コロナ「国民1人当たり10万円給付」以外でも知っておきたい、万が一のときに使える各種支援制度とは
新型コロナで大きな影響を受ける企業活動。全国に「緊急事態宣言」が発出された今、身を守るために知っておくべき各種支援制度とは? 新田龍氏が解説する。 - 新型コロナ“緊急事態”下でも従業員を守り抜くために 知っておくべき各種支援制度
新型コロナで大きな影響を受ける企業活動。全国に「緊急事態宣言」が発出された今、従業員を守るために知っておくべき各種支援制度とは? 新田龍氏が解説する。 - 自社は「持続化給付金」を受けられるか? マネーフォワードが予測機能提供
新型コロナウイルスの影響から厳しい状況にある事業者の支援のため、経済産業省が計画する「持続化給付金」。クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計・確定申告」ユーザー向けに、過去の売上データを元に、「持続化給付金」の給付対象の予測と予測給付額の算出ができる機能の提供が始まった。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.