“密”になるほどの人気で売り上げ絶好調 「ホームセンター」はコロナを機に復権できるか?:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、多くの業界に出された休業要請から辛うじて外れたホームセンター。緊急事態宣言下でも“密”となるほど多くの人が訪れ、多くの企業が売り上げを伸ばしている。今回のコロナ禍を機に存在感を発揮できるか。
緊急事態宣言下でも売り上げを伸ばしたホームセンター業界
緊急事態宣言が出された当初、東京都と国の休業要請対象業種は一致しておらず、ホームセンターは東京都の休業要請業種とされていたものの、協議の末、社会生活を維持するために必要な業種として、休業要請から外れたという経緯があったことを覚えている方もいるだろう。
幸いにも、店舗営業を維持できたホームセンターは、自粛期における消費の受け皿として多くのお客を集めることになった。その過熱ぶりは“3密”の状況を作り出しているとして、マスコミなどでもたびたび取り上げられ、多くのホームセンターが一部売場を閉鎖、土日の営業自粛を行う、などの対応を取らざるを得ない状況になったほどだった。店舗側では、消費者に対して、不要不急の来店自粛や、一家そろっての来店を避けるよう呼び掛けたが、それでもこの間の店の混雑はあまり緩和しなかったようだ。
大型商業施設が休業する中、ホームセンター企業の多くが売上を伸ばした。表は主要上場ホームセンターの対前年比売上増減率(既存店べース)であるが、軒並み増収となっていることがデータでも明らかだ。
大型ショッピングモール並みの広さの店舗がウリのジョイフル本田は土日営業を自粛し、広い家具売場を持っている島忠は生活必需品以外の売場閉鎖などで、意識的に来店を抑制したため減収となったが、その他の企業は増収となり、なかでも首都圏や京阪神に店舗網を広げている企業(コーナン商事、ケーヨー)が、1割以上の顕著な増収を記録したことがみてとれる。ホームセンターという存在は、大都市圏では若干影が薄い存在であったのだが、コロナ禍によって多くの消費者が来店したという何とも皮肉な結果となった。
関連記事
- テレワーク中にサボっていないか、日本企業が従業員を熱心に監視してしまう理由
テレワークで従業員がサボらず仕事しているかを“監視”するシステムが話題になった。テレワークは本来「成果」を出すためなら「働く場所」を問わない制度のはず。それなのに、なぜこうなってしまうのか。ブラック企業アナリストの新田龍氏は、海外のケースを引きながら、「サボり」に対する国内外の温度感の違いを指摘する。 - 米国の老舗食品ブランドが、コロナ危機で再興している秘密
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、航空業界やホテル業界などが苦戦している。そんな中で、チャンスをつかもうとしている企業もでてきている。加工食品を扱う、大手食品メーカーだ。 - 三越伊勢丹は首都圏6店舗を営業再開 都心の大型店、6月上旬にかけて営業拡大へ
緊急事態宣言が全国で解除になったことを受けて、首都圏の大型店舗などを臨時休業していた企業が相次ぎ営業再開を決めている。三越伊勢丹HDは、5月30日から首都圏6店舗の営業を再開。高島屋は、都心の店舗などで全館営業を再開させた。 - テレワークを阻む「ハンコ文化」は政府の“太鼓判”で消え去るのか?
新型コロナの影響で導入が進むテレワークだが、それでも出社しないといけない環境を生み出しているのが「ハンコ」だ。もともと、無駄が多く生産性の低い「日本的」な労働慣行の代名詞でもあったハンコだが、従業員の感染リスクを減少し、生産性を高めるためにも官民でようやく「電子化」の機運が高まり始めている。 - 話題の「社員PC監視ツール」がテレワークを骨抜きにしてしまう、根本的理由
テレワークで従業員がサボらず仕事しているかを“監視”するシステムが話題になった。テレワークは本来「成果」を出すためなら「働く場所」を問わない制度のはず。こうしたシステムが出てくれば、テレワークが骨抜きになってしまい、生産性を高める「成果主義」が定着しない、と新田龍氏は指摘する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.