なかなか進まぬ「障害者雇用」 在宅勤務がカギになりそうなワケ:広がる「地域格差」(3/3 ページ)
18年4月に引き上げられ、21年にもさらなる引き上げが予定されている「障害者法定雇用率」。ただ、実際は達成できている企業がなかなか増えていない。多様性を持つ社会の実現に向けて、どういった打ち手を出していけばいいのか。リクルートオフィスサポートで障害者雇用に取り組み、都市部と地方部の企業と障害のある人をマッチングする事業会社「カラフィス」を設立した三井正義氏は、新型コロナの影響で浸透する「在宅勤務」がカギになると予想している。
在宅勤務=内職というイメージが変わった
リクルートオフィスサポートの成功例があったにもかかわらず、なかなか障害者雇用で在宅勤務は進んでいかなかった。「在宅勤務イコール内職というイメージがまだまだあったり、『リクルートさんだからできるんでしょ』という意見をいただいたりすることも多かった」と三井氏は話す。
しかし、今般の新型コロナウイルスの影響で潮目が大きく変わり始めている。多くの企業で、テレワークを導入したことにより、意外と多くの業務がリモートでできるという認識が広がった。この流れが、障害者雇用へも広がっていくことを三井氏は期待している。ただ、もちろん全ての業務がリモートに移行でき、障害のある全ての人が在宅勤務に適しているわけではない。この適性をチェックするテストを、カラフィスは提供している。文章の穴埋めや計算問題などを中心に、在宅勤務を希望する人がインターネット上で受験し、在宅勤務への適性をはかるという。
メリットも多い在宅勤務での障害者雇用だが、一方でマネジメント面での課題もあるという。雇い入れた後、どのようにマネジメントをすればよいのか迷う企業も多いというが、これが在宅勤務となれば、なおさらだ。
「特に難しいのが評価面」と三井氏は話す。特に精神障害のある人などは、健常者と比較してより個々人に寄り添ったマネジメントを要するケースも多い。加えて評価をするとなると、必要なマネジメントのレベルがさらに上がる。そこで、リクルートオフィスサポートではあえてシビアな評価制度を導入しなかったという。「成果主義でシビアに評価するのではなく、ある程度年功的な要素を取り入れるのもいいかもしれない。これから在宅勤務での障害者雇用が増えていけば、議論は進んでいくはず」(三井氏)
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