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ハンコの老舗企業「シヤチハタ」はなぜ、20年以上も前から電子決裁サービスを提供し続けているのか「Windows 95」を機に開発(4/4 ページ)

テレワークで注目が集まる契約や決裁業務の電子化。これをいち早く始めていたのが、ハンコの老舗企業であるシヤチハタだ。同社はWindows 95の発売を受け、電子化の未来を予見し、20年以上前から電子決裁サービスを提供している。3月には期間限定でのサービス無料提供を発表し、話題になった。

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無料開放の背景と反響

 同社は「パソコン決裁Cloud」を6月30日までの限定でサービスを無料開放したが、この決定も非常に早かった。

 「3月に入って全国の小中学校が休校しました。パートの方などは、子どもが家にいたら、会社に行けなくなってしまいます。在宅での仕事を強いられる人も増えるでしょう。そこで、困っている人がいるのなら、より多くの人に知ってもらうためにも、一定期間は貸し出してもいいのではないだろうかという判断から、無料開放に踏み切りました。3月4日からスタートして、4月から本格的に企業も出社を制限するようになると、想像し得なかった数のお問い合わせが来ました」(小倉氏)

 ユーザーからは、「会社にいなくても決裁できる」や「これまで3日間かかっていた見積書の取得を30分に短縮できた」「紙に押印する運用をそのまま電子化しているので、誰でも使える」といった声が寄せられたそうだ。

 最後に、ハンコと電子決裁の今後について伺ってみた。

 「電子決裁は、便利で安心・安全に使用できれば今後浸透していくと思います。ハンコについては、本人確認と承認を明確にできる利点があり、文化として根付いているものでもあるので、いいところは残し、不便なところは運用を見直していけば良いと思います。次の展望としては、社内だけでなく社外に対しても使いたいというお客さまのリクエストに応えるべく動いているところです」と小倉氏は締めた。

 1925年に創業し、100年近くの歴史を誇る老舗企業ながら、ITの先を見据えていち早く動いたり、新型コロナウイルスの影響で素早く無料開放を決定するなど、フットワークが軽いシヤチハタ。これからも、企業の承認フローをさらに改善し続けてくれることに期待したい。

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