ハンコの老舗企業「シヤチハタ」はなぜ、20年以上も前から電子決裁サービスを提供し続けているのか:「Windows 95」を機に開発(3/4 ページ)
テレワークで注目が集まる契約や決裁業務の電子化。これをいち早く始めていたのが、ハンコの老舗企業であるシヤチハタだ。同社はWindows 95の発売を受け、電子化の未来を予見し、20年以上前から電子決裁サービスを提供している。3月には期間限定でのサービス無料提供を発表し、話題になった。
低コストでさまざまな機能を提供
たくさんの人に使ってもらいたいと考え、価格もリーズナブルに設定。ハンコ1本当たりの月額は100円(税別)だ。10本単位で登録でき、100人分でも月額1万円と、低コストで活用できる。押印の回数にも制限はない。企業としては、固定された予算の中で使えるのがうれしいところだろう。
実際に「パソコン決裁」のデモを見せてもらった。まずは、申請書類をアップロードする。対応するのはExcelとWord、PDFファイルだが、アップロードした時点でExcelとWordのドキュメントはPDFに変換される。申請する相手は1人でもいいし、複数人を設定することもできる。社内のアドレス帳から選ぶほか、メールアドレスを直接入力することも可能。社内だけでなく、社外の人も承認フローに組み込めるのも特徴だ。
申請を受けた人はなつ印パレットからハンコを選んで、書類の任意の場所をクリックするだけ。「申請する」をクリックすれば、次の人に送信される。全員の作業が終わったら、差出人に通知が届き、確認できるようになる。
電子データだとなりすましというリスクがあるが、どういう経路で回覧されたかが全て記録される。申請から承認に至るプロセスを明白に管理できるのがメリットだ。「ダウンロードしたPDF文書には電子署名が付与できるので、編集が行われた場合でも改ざん検知ができ原本性を高めることができます」(小倉氏)
アップロードしたファイルは、1年間保存される。ユーザーは承認が終わったら、任意のタイミングでダウンロードし、自分で保管すればいい。容量は1ユーザー当たり1GBと限られている。ユーザーからは、追加で料金を支払うので、もっと長期間保存しておきたいという声も寄せられているそうだ。
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