コロナ禍で見直し進む株主総会 「密」だけじゃない課題とその解決策とは?:開催の手前にそびえたつカベ(3/4 ページ)
新型コロナの影響で見直しが進む株主総会の在り方。人が密集することから、総会自体をどうオンライン化するかが取り沙汰されることも多いが、特に非上場企業ではもっと「手前」に課題がある。そんな課題を解決するサービスが登場した。
実際の利用イメージ
早速、株主総会クラウドで株主総会の委任状を集めてみよう。メールアドレスでアカウントを作成したあと、招集通知のPDFをアップロードする。続いて、送信する株主を選択し、株主総会を開催する時間と場所、決議事項の数を入力。後は、メッセージを入力して送信するだけ。繰り返しになるが、画面にも注意書きが表示されるように、前提条件としてあらかじめ株主と同意が取れている必要がある。クラウドサービスだからといって、招集通知をいきなり送りつけるのは避けた方がよいだろう。
メールを受け取った株主は、「株主総会招集通知に回答する」というボタンをクリックすると、ログインなしで回答ページが表示される。回答ページでは、委任するか出席するかを選択し、委任する場合は議案ごとに賛否を選択する。内容を確認する場合は、招集通知のPDFがメールに添付されているので、必要に応じてダウンロードすればいい。
サインをする項目もあるが、その場所をクリックして、キーボードで名前を入力し「サイン」をクリックするだけ。本質的には不要な処理ではあるのだが、「契約」という形を取るために必須のステップとなっているという。後は、「回答する」をクリックすれば、委任状がPDFファイルになってダウンロードできるようになる。
メールが来てから、送り返すまでの作業は1分もかからない。紙であればいろいろな作業が発生するのと比べると、はるかに効率的になるだろう。
株主からの返信は「株主総会クラウド」の画面で一覧できる。やりとりしたファイルも保存され、関係書類をアップロードしたり、内部メモを残したりすることも可能だ。開催した株主総会に関する情報を一元的にまとめて管理できる。
「株主の方も投資先が10社を超えてくると、どの投資先から何の議案がきたか管理しきれなくなります。正式版のリリースタイミングで、株主もアカウントを登録できるようにします。そうすれば、全ての回答履歴をいつでも閲覧できるようになります」(神先氏)
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