古いビルからビジネスが生まれる、新しい「有楽町」 ポストコロナ時代に存在感を放てるか:ハードとソフトの両面から再開発(3/3 ページ)
三菱地所は今後10年の東京・丸の内周辺のまちづくりにおいて「有楽町」を重点エリアとしている。ビルの建て替えなどのハード整備だけでなく、古いビルを活用したソフトの取り組みを強化。「活躍できる」「成長できる」街を目指す狙いとは?
ビジネスパーソンが“訪れたくなる”街へ
三菱地所が今後進めるポスト・コロナ時代のまちづくりでは、働く場所や時間の多様化に対応するだけでなく、訪れる意味や価値がある街にすることがこれまで以上に求められる。企業のオフィス変革を支援することに加えて、フレキシブルに利用できる空間づくりや、オンラインも活用した個人や企業の交流機会創出などを施策として掲げる。それによって、「決まった時間にオフィスに行って働く街」から、「働き方に応じて柔軟に“使い倒す”街」へと変化させていく。
この方向性は、有楽町で進めているハード、ソフト両面を整備するまちづくりとも共通点がある。
吉村氏は有楽町の今後について、「クリエイティブな志向の人、新しいことに挑戦したいと思っている人たちに価値を感じてもらいたい。『いつ来ても新しい刺激がある』街にしていく」と話している。
現在、オフィスを取り巻く環境の在り方は大きく見直されている。オフィス街に企業を誘致して活性化を目指すだけではなく、個人が「ビジネスに役立つ」街として訪れたくなる機能や雰囲気を生み出していくことが求められる。そのためには、便利な機能に加えて、さまざまなビジネス志向の人に“刺さる”ものが必要だろう。有楽町では今後、既存のビルなどを活用したアート展示や、吉本興業の常設劇場の開設など、アートやエンタメを発信する取り組みも加速させる。
街の特性である多様性を生かしながら新しい価値を生み出そうとする有楽町で、どんな人たちが活躍していくのか。ビルやオフィスといったハード面だけでなく、街を訪れる人々の動きが大きく変わっていきそうだ。
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