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モノプソニーだけじゃない 「日本人の給料安すぎ問題」に潜むこれだけの原因:働き方の「今」を知る(1/4 ページ)
デービッド・アトキンソン氏の記事によって話題になった「日本人の給料安すぎ問題」。氏は原因を「モノプソニー」でひもといたが、給料が安すぎる原因は他にもさまざまある。前後編2回に分けて、ブラック企業に詳しい新田龍氏が解説する。
小西美術工藝社社長で、日本の観光・経済政策にまつわる提言を数多くおこなっているデービッド・アトキンソン氏の一連の記事の影響により、「日本人の給料安すぎ問題」が話題になった。
当該記事の概要をまとめると、
- 労働者を雇う会社側の力が強くなりすぎ、労働者が「安く買い叩かれる」(モノプソニー)状態にあることが問題の原因。これは先進諸国共通の課題だが、日本の場合特にその影響が大きい
- このため、先端技術を活用できない生産性の低い小規模企業が生き延び、結果的に輸出も伸びず、全体的な生産性も低下。女性活躍も進まなくなる
- モノプソニー状態にあることで、本来なら淘汰されるレベルの経営者や企業が生き永らえ、結果的に給与水準が低いままになってしまう
- そうならないための方策として、「小規模事業者の統廃合」「中堅企業の育成」「最低賃金の引き上げ」が有効
というのがアトキンソン氏の考え方だ。
筆者も氏の意見には大いに賛成である。特に、大学で学んだ新古典派の経済学(需要側と供給側は効用最大化を目指して双方合理的に行動し、結果として需供均衡が実現する、という完全競争モデル)は現実の社会(立場の弱い労働者にとって労働市場は完全競争ではない)に当てはまらないと考えていたところに、この「モノプソニー」という考え方はその欠けた部分を補完するものであったからだ。
一方で筆者はまた、日本において長年給料が上がらない原因は他にも多くの要素が複雑に絡み合っているものと考えている。筆者自身、給料が低く抑えられ、従業員が使いつぶされるようなブラック企業に勤め、かつ長きにわたって「立場の弱い労働者」側から労働市場との関わりを持ってきたため、個人的に思い当たる要素が複数あるのだ。では、アトキンソン氏が挙げたもの以外にどんな要因があるのだろうか。
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