「しゃぶしゃぶ温野菜」爆発 なぜ報ステは「運営会社」を伏せたのか:スピン経済の歩き方(2/5 ページ)
「しゃぶしゃぶ温野菜 郡山新さくら通り店」でガス爆発が起きた。多くのメディアは謝罪会見を取り上げたが、なぜか報道ステーションは運営会社の社名すら報じなかった。その背景になにがあるのか。
コロワイドとレインズの対応
報道対策アドバイザーとして、似たような事故対応もしてきた経験から言わせていただくと、今回、コロワイドやレインズの対応は決して悪くはない。
事故直後におわびのコメントを出すとともに、『「温野菜郡山新さくら通り店」爆発事故被害状況受付窓口』も立ち上げ、謝罪会見はFC加盟社とともに運営会社のレインズの社長、さらには親会社のコロワイドの社長まで登壇して、「全力で対応する」と宣言した。
このような対応を選択した両社にとって、理想的な報道露出はどんなものかというと、「コロワイドもレインズも加盟社に責任を押し付けず、被害にあわれた方たちにしっかりと謝罪をして、真摯(しんし)に対応していきます」というメッセージがしっかりと伝わることである。
実際、ほとんどのメディアではそうなっている。民放よりも企業名の取り扱いに気を使うNHKも『飲食店爆発 運営チェーンの親会社 コロワイド社長 会見で謝罪』(NHK 2020年7月30日)と報じている。被害者が直に情報収集をする地元紙も『コロワイドのグループ会社レインズインターナショナル(横浜市)は31日にも、被害者向けに電話相談窓口を設けるとしている』(福島民友新聞 7月31日)と、両社が強調した被害者対応を伝えた。
しかし、報ステはそうしなかった。両社を「運営会社」とわざわざぼやかして、社長が会見の場にいなかったかのような編集もした。これではトップが直々に出向いた危機管理対応がパアだ。しかもこんな不自然極まりない報じ方をされれば、「悪目立ち」するので両社のイメージダウンは甚だしい。
実際、新潮の記事へのコメント欄には、コロワイドやレインズが牛角のCMを出していることで、テレ朝に圧力かけたのではといった指摘もあった。つまり、これだけ大々的に各社が報道する中で、報ステだけが社名を控えることは、コロワイドとレインズにとって、企業イメージをおとしめることにしかならないのだ。いくらCMスポンサーとはいえ、ここまで無意味で、誰も喜ばない「自主規制」をするとは考えにくい。
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