台頭する“グレー”クレーマーの生態 悪質な苦情にどう対処すべきか:世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)
インターネットの普及で企業のクレーム対応は難しくなっている。最近は反社会的勢力による被害が減る一方、一般の消費者が迷惑行為をしてしまう“グレー”なクレームが増えた。どう対処すればいいのか。法律や対処後のフォローを念頭に置いた対応が効果的だ。
グレー・クレームにどうやって対処すべきか
では、どうやってグレーなクレームに対処すべきか。『グレークレームを“ありがとう!”に変える応対術』では、いくつもの対応事例を漫画にして解説しているので詳細はそちらに譲るが、基本的にクレーム対応は法律を知っていれば恐れることはないという。もちろん詳しい法律を全て記憶するのは難しいだろうが、「法的三段論法」というのを知っていればいいらしい。
法的三段論法とは、法的な思考法の基本だ。大前提の「事実」を、小前提である「法」に当てはめて、「結論」を導く。つまり、クレームの事実を証拠で確定して、客に損害が生じているなら、法的に求められる原状回復まで応じればいいという。ここでいう事実は、5W1H(Who=誰が、When=いつ、Where=どこで、What=何を、Why=なぜ、How=どのように)に沿って聞けば確認しやすい。
米ハーバード・ビジネス・レビュー誌による18年の調査では、クレームが5分以内で素早く解決できた場合、その客は将来的にさらにそこで買い物をするという結果が出ている。米国の他の調査では、クレーム後に店から離れてしまう客の7割ほどは、自分が店側から大事に思われていないと感じることがその理由だ。対策としては、クレーム対処後に、メッセージなどでもフォローアップをして丁寧に客を扱う必要があるという。特に「お客さまは神様」という文化の日本ではそれは効果的だろう。
ちなみに米国でも昔は「お客は王様(キング)」といわれていた。米国のビジネス系サイトでは、クレームこそ客から得られる直接的なフィードバックであり、非常に貴重なものだと指摘しているところもある。「聞く姿勢を持つ」「感情的になるな」といったアドバイスも目にするが、基本的にざっくりとしたアドバイスが欧米では多い。英国の情報サイトでは、クレームをする側に立ったアドバイスも見受けられ、冷静で丁寧に苦情を伝えないと、企業側も聞く耳を持たなくなると指摘している。こういう話を聞くと、日本はやはり非常に真摯で丁寧だといえる。
しかも最近では、新型コロナもあいまって、欧米企業などは苦情電話に出なかったり、公式サイトから連絡先を削除したりするところも出ていると、ニュースになっている。企業側が対応したくないという姿勢になっているというのだ。
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