ボルボ日本法人が着手した「オンライン接客」 “会ってなんぼ”を超える満足度向上とは?:「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(3/4 ページ)
ボルボ・カー・ジャパンはオンラインサービスを強化している。7月、「オンライン商品説明」を開始。感染対策や顧客ニーズへの対応に加えて、セールス担当者の働き方改善にもつなげる。また、効率化だけなく、接客の質を高めるためにオンラインを活用する方針だ。
「会ってなんぼ」から「都合のいい時間にオンライン」へ
オンライン商品説明は、現場のセールス担当者の仕事を大きく変える可能性もある。これまでは顧客に会うためのアポ取りが一苦労で、「店舗に行くと契約しなければいけないのでは」という心理的なハードルも高かった。オンライン“商談”ではなく“商品説明”という名称にしている通り、まずは商品説明を自宅で聞いてもらう提案ならハードルは下がる。
また、セールス担当者の働き方の変化にもつながる。「『会ってなんぼ』だった時代は、まずは玄関先に行って『わざわざ来てくれた』と思ってもらうのが大事だったが、今はあまり求められていない」(広報担当者)。都合のいい時間にオンラインで対応してもらったほうが、客も担当者も時間を効率的に使うことができる。訪問するための移動時間がなくなれば、労働時間の管理もしやすくなる。顧客のニーズも踏まえ、オンラインを上手に活用するセールス担当者も増えていきそうだ。
さらに今後は、整備や修理などにもオンラインサービスを取り入れていく。以前から、店舗の受付担当者ではなく、実際に作業をした整備士が自ら客に整備内容などを説明してきた。それと同じように、整備のために車を預けた顧客に対して、整備士がオンラインで整備結果や修理の見積もりなどを説明できるようにしていくという。
セールスの商品説明と同じように、実車を画面に映しながら説明できるほか、顧客からの質問にもすぐに対応できる。従来も電話やメールで簡単に説明した上で来店してもらっていたが、整備士が修理箇所などを実際に見せながら説明すれば、来店前に疑問を解消でき、納得感を持ってもらいやすい。
一方、オンラインサービスを充実させることは、効率化や利便性向上だけでなく、接客品質の向上にもつながると考えているという。自動車は“売って終わり”ではなく、販売後も顧客との付き合いが続く商品だからだ。
関連記事
- 銀行も前例こえて賛同 「#取引先にもリモートワークを」運動に共感が集まる理由
新型コロナの影響で普及したテレワーク。書類整理や押印の業務で出社が必要となるケースも多いことが課題になった。それを解決しようと呼びかける取り組みが「#取引先にもリモートワークを」というアライアンスだ。発起人に立ち上げの狙いや反響を聞いた。 - テレワーク普及で企業の「スペース」はどうなる? 変わりゆく“空間の使い方”
物置きシェアサービスのモノオクは、オフィス縮小ニーズを想定し、法人向けに荷物の保管・撤去サービスを始めた。オフィス縮小などのニーズ拡大が見込まれる一方、“使わないスペース”も増えているという。企業や店舗が持つスペースに、何が起きているのか。 - テレワーク不可でもクラスターは防ぎたい――小さな工夫で感染リスクを減らす「非接触型オフィス」とは
テレワーク導入やオフィス改装は業務やコストの制約があってできない、でも感染対策は必要――。そんな企業に対して、小さな工夫でできる「非接触型オフィス」を提案するデザイン会社がある。感染リスクを減らすポイントと、これからのオフィスづくりの考え方を聞いた。 - オンライン教育「周回遅れ」の日本 “コロナ休校”で広がる、埋められない空白
新型コロナウイルスの影響で休校が続く各国では、オンライン教育の提供が進んでいる。PCやルーターなどを無償提供して環境を整え、通常通りの時間割でオンライン授業を実施している国もある。日本も「教育の空白」を広げないための方向性を示すことが必要だ。 - Zoomで“遠くから”葬儀に参列 名古屋の葬儀社がオンラインのサービス開始
新型コロナウイルス感染拡大で悩みの種となっているお葬式。西田葬儀社は、Web会議ツール「Zoom」を使ってオンラインで葬儀に参列できる新サービスを始めた。日本に昔からある「遥拝」の考え方を参考に、遠隔でも最後のお別れができるようにする取り組みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.