連載
吉祥寺でステーキ戦争勃発 「いきなり!」「やっぱり」「ステーキ屋松」の決定的な違いをプロが分析:飲食店を科学する(3/7 ページ)
沖縄発の「やっぱりステーキ」が東京・吉祥寺に進出。この地には「いきなり!ステーキ」と「ステーキ屋松」がある。プロが3店舗を分析して分かった決定的な違いとは?
やっぱりステーキはファミリー層を獲得
続いて訪れたのはやっぱりステーキです。駅から3〜4分歩いた裏路地にあります。東京初上陸という話題もあってか、10人のお客さまが店舗の外に並ばれていました。席数はテーブル席18席、カウンター席7席、テラス席10席の合計35席。
店舗に到着してまず感じたのは、ファミリー客の存在です。この日は平日でしたが、店内には2組のファミリー客がいました。カウンター席とテーブル席の両方を設けることで、サラリーマンなどの1人客だけではなく、ファミリー客の獲得にも成功しているようです。
券売機でオーダーしてから店内に入る仕組みとなっています。私がオーダーしたのは、同店で最も安いステーキセットである「やっぱりステーキ100g」。サラダバーとスープ、ごはん(白米、黒米)の食べ放題が付いて880円という驚きの安さです。消費者としてはうれしい価格ですが、他チェーンと比べても高原価率のビジネスモデルであると予想されます。
実際の原価率はどうなっているのでしょうか。地元紙の報道によると、原価率は80%を超えるそうです(出所:沖縄タイムス+プラス18年5月6日付、「沖縄で急成長『やっぱりステーキ』全国へ 『あっぱれ』で売上100億円目指す」)。一方、いきなり!ステーキの原価率を運営会社の中期経営計画で確認すると59.2%(19年12月)でした。やっぱりステーキが高原価率のビジネスを展開していることが分かります。
関連記事
- スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「生ビール190円」の原価率は85%? お客が3杯飲んでもしっかり利益が出る仕組みとは
「生ビール1杯190円」という看板を見かける。安さでお客を引き寄せる戦略だが、実は隠されたメリットもある。どんな狙いがあるのか。 - 見通しが甘かった大戸屋、買収どころではないコロワイド 「大戸屋紛争2.0」を読み解く
コロワイドが大戸屋に“超攻撃的買収”を仕掛けている。敵対的な買収はそもそも成功するのか。買収された後、大戸屋にはどんな運命が待ち受けているのか。 - 松屋の魅力は券売機!? 人手不足時代に吉野家とすき家が導入しない理由とは
大手牛丼チェーン3社のうち券売機を導入しているのは松屋だけだ。生産性向上の切り札である券売機を吉野家とすき家は導入していない。各社に見解を聞いてみた。 - 「どさん子ラーメン」は今…… 急成長から衰退までの経緯と復活のシナリオに迫る
札幌みそラーメンの“伝道師”として急成長した「どさん子ラーメン」。かつては1000店以上を展開していたが、マネされるのも早かった。“衰退”したと思われている一方で、復活に向けた動きもある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.