半沢直樹を笑えない? 現実に起こり得る、メガバンク「倍返し」危機とは:「証券いじめ」も今は昔(4/4 ページ)
7年ぶり放映でも好調の「半沢直樹」。「倍返し」に決めぜりふに銀行の横暴を描く姿が人気だが、どうもフィクションだけの話では済まない可能性が出てきた。現実のメガバンクに迫りくる「倍返し」危機とは?
投資家の期待値を表すPBR(株価純資産倍率)でみると、メガバンク3行はおおむね0.3倍台と低迷しています。この数値は、長期の経営不振にあえいでいるドイツ銀行と同水準であり、市場はメガバンクの先行きをかなり厳しくみている表れであるといえそうです。ちなみに銀行界がイコールフッティングを盾にモノ申し、融資業務も海外業務も取り扱えないように規制させてきたゆうちょ銀行のPBRは約0.4倍であり、結果的にメガバンクを上回っているというのは何とも皮肉な話である気がします。
「半沢直樹」では順調な景気状況を背景とした銀行の横暴極まりない姿が描かれていますが、現実世界ではこのように全く異なった金融情勢が展開されています。メガバンクがもし国内でのさらなる経済ショックによる「倍返し」にあうなら、ドラマのような勧善懲悪のハッピーエンドは期待できません。日本経済の回復ははるかかなたへ追いやられ、その先には長く暗い大不況時代が待ち受けているかもしれないのです。「半沢直樹」はメガバンクへのカタルシス的な「倍返し」を期待する国民の多さが支える高視聴率なのかもしれませんが、現実世界でのメガバンクへの「倍返し」は一国民としてご勘弁いただきたい限りです。
著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役
横浜銀行に入り現場および現場指導の他、新聞記者経験もある異色の銀行マンとして活躍。全銀協出向時は旧大蔵省、自民党担当として小泉純一郎の郵政民営化策を支援した。その後営業、マーケティング畑ではアイデアマンとしてならし、金融危機の預金流出時に勝率連動利率の「ベイスターズ定期」を発案し、経営危機を救ったことも。06年支店長職をひと区切りとして銀行を円満退社。銀行時代実践した「稼ぐ営業チームづくり」を軸に、金融機関、上場企業、中小企業の現場指導をする傍ら、企業アナリストとしてメディアにも数多く登場。AllAbout「組織マネジメントガイド」役をはじめ、多くのメディアで執筆者やコメンテーターとして活躍中。
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