車内やベンチでまだ仕事? 首都圏の駅にシェアオフィスが続々:駅の使い方(4/4 ページ)
カバンの中にはPCを入れていて、いつでも仕事ができるようにしている――。このようなビジネスパーソンも多いかと思うが、鉄道会社もそんな人たちに向けてサービスを整備している。例えば、首都圏の主要駅にシェアオフィスが増えていて……。
東京メトロが富士ゼロックス「CocoDesk」を導入・拡大
東京メトロは富士ゼロックスと共同で「CocoDesk」というブース型のシェアオフィスを開発した(関連記事)。個室型のワークスペースと東京メトロなどは定義付けている。これまで10駅19台に設置されていただけではなく、この夏に新たに5駅9台増やし、あわせて15駅28台の設置となった。
ある程度ゆったりしたスペースを確保した上で、照明、Wi-Fi、電源、USBコンセント、モニターが付いているところは、JR東日本の「STATION BOOTH」と同じだ。
東京メトロのプレスリリースによると、ビジネスパーソンの移動において便利な場所に設置された個室型ワークスペースで、エアコンによる温度調節だけではなく、抗菌・ウイルス対策としてコーティングを施しているという。
もちろん仕事以外でも、読書や学習スペースとして利用できる。利用時間は15分単位。オフィス街の駅への設置の要望は多く、この夏には半蔵門駅や大手町駅、霞ケ関えきに設置された。
このサービスは都内のオフィスビルや京急電鉄の駅にも設置され、今後は広がりを見せると考えられる。
東京メトロは、多様な働き方に寄り添い、「駅をビジネス・生活空間の一部」として快適に利用してもらいたいと考えている。一方で、同社は都心部の一等地に路線を持っているので、駅構内をどう利用していくかは資産運用の観点からも重要であり、そこにこういった設備を設けることは理にかなっている。
利用者には「細かな空き時間を使用して仕事をしたい」という要求がある。特に都心部に路線網のある東京メトロでは、必然的にそういった要求が起こる。東京メトロはスペースを有効活用したいと考え、最適なものは何かを考えていた。
そのあたりにマッチングしたのが「CocoDesk」である。
スペースの有効活用だけではなく、駅の戦略的拠点としての位置付けを高め、利用者にもっと鉄道を利用してもらうのが、駅にあるシェアオフィスの意義ではないだろうか。
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